症例30 膝の痛み
60代女性の症例です
〈来店時のご様子〉
2013年の年末から特に原因なく、左の膝に痛みが出始め
整形外科では、MRIで半月板損傷との診断が出ていました
視診では、膝のお皿が内側を向き、つま先が外側を向いたknee inーtoe outという
状態になっており、この状態で膝の曲げ伸ばしを行うと、膝関節にねじれの力が加わり
半月板に負担がかかります
また半月板にストレスをかけて痛みを診る整形外科検査でも
陽性の所見がありました
この方の場合、趣味でフラダンスをされており、中腰で行う独特のステップが
それを助長していたと考えられます
また腹筋群の弱化と大腰筋の過緊張によって腰椎の前弯が強くなるとともに
骨盤の安定性が低下して、スイング歩行も見られました
このような状態から、以前から膝や腰などに負担がかかりやすいになっており
その負荷が限界に達したことで、膝の痛みが発生したと考えられます
半月板は軟骨であり、修復ために必要な血液を送る血管が少ないことから
治癒には時間がかかります
そして根本的な改善のためには、身体全体のバランスを整えていく必要がありました
〈レッスン内容と経過〉
トレーニングを行いながら、それぞれの筋肉や関節が正常に働くような調整を行いました
またこの方の場合、家族の介護の疲れやストレスから精神的な問題が痛みを
頑固なものにしてしまっていると考えられました
ローカルアプローチ(局所に対するアプローチ)
・膝の動きに伴って半月板を引き出す作用を持つ半膜様筋、膝窩筋の過緊張を緩める
・膝関節の可動性減少によって滞っていた関節液の循環を促す
・スクリューホームムーブメントに則った関節運動を誘導する
リージョナルアプローチ(膝周囲に対するアプローチ)
・減少していた股関節の可動性を高めるために腸腰筋の過緊張を緩める
・弱化していた腹直筋の筋力を発揮しやすくするために、仙骨のアライメントを調整する
グローバルアプローチ(リージョナルよりも広い視点からのアプローチ)
・このまま痛みがとれないのではないかという不安とマイナス思考に対しての
気持ちの持ち方についてのアドバイス
パワープレートトレーニング
週に1回の頻度で、まずは負担の少ない固有受容器を刺激するトレーニングをメインにして
徐々に可動性が増してきたところで、正しい関節を体に教育するためのトレーニングを
入れていきました
平行して体幹の安定のためのドローインやブレーシングといったトレーニングも行っていき
膝の負担が減るように体をつくっていきました
1回目、2回目の後は症状に大きな変化は無いということでしたが
3回目で歩いている時の足の裏の感覚が
変わってきたとおっしゃっていました
8回目では、膝の痛みが半分以下になり、今まで控えていたフラダンスが踊れるようになりました
初回から3ヶ月が経ち13回目の時には痛みは完全になくなり
半月板を痛める以前からできなかったという正座ができるようになりました
現在では、レッスン開始時に目標にしていた走ることもできるようになり
維持のために引き続きトレーニングにいらっしゃっています
この方の場合、レッスン開始当初は前述のように精神的なストレスから表情も暗く
頻繁に溜息をついているのが印象的でした
様々な医療機関に行きましたが良くならず
パワープレートも元々レッスンを受けて下さっていた妹さんの紹介で
いわばダメもとでいらっしゃったような状態でした
「病は気から」という言葉がありますが、おそらくこの方は膝の治療だけしていたのでは
間違いなく良くならなかったでしょうし、途中でトレーニングを投げ出していたと思います
しかしこの方の置かれている生活環境についてきちんと理解し
自分が健康になることで、家族も自分も幸せになるという明確な目標を持ってもらうことができてからは
今までほとんど見ることのなかった笑顔が見られるようになり
みるみる状態が良くなりました
今回の場合、痛みが取れるまでにある程度時間がかかってしまいましたが
包括的なアプローチの重要性を改めて感じることができました
健康に終わりはないので、この方が望む目標を一つずつクリアできるように
結果にこだわって、これからも頑張っていきたいと思います
2014年8月23日(土)
膝の痛み|
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