肥満遺伝子について 1
〈遺伝子とDNAの違い〉
・遺伝子 私たちの体をつくるための設計図としての情報のこと
・DNA デオキシリボ核酸、記憶が入ったUSBメモリーのような記憶媒体のこと
遺伝子は両親から半分ずつ情報をもらいますが、その繰り返し行われる過程で
今までに無い遺伝情報の書き換えが起こり
突然変異や進化といったものとして伝わっていくことがあります
〈肥満遺伝子は生き延びるための知恵〉
肥満遺伝子は、現代では「肥満」というもの言葉から悪者扱いされてしまいがちですが
本来は私たちの祖先が厳しい環境を生き抜くために進化してきた証なのです
人類の祖先は300万年前にアフリカで生まれ、そこから常に人類は飢餓と戦ってきました
狩りや食糧摂取で得られたわずかな食糧を効率よく体脂肪に変えて
次に食料を得る時まで少しずつ使って、生命を維持してきたのです
この歴史を1日に例えると、0時から始まってなんと夜23時59分までが
飢餓との戦いだったということになります
人類が農業を始めたのが23時55分、第二次世界大戦が終わったのが23時59分16秒で
それ以降、外食産業などが発展していつでも手軽に食事ができるようになったと言われています
従って現代の飽食の時代にまだ体がついていっておらず、
本来生存に有利に働いていた遺伝子が
肥満に結びついてしまうという状態になってしまったのです
・飢餓の時代 わずかな食糧→インスリン分泌→体脂肪蓄積→飢餓に耐え、生き延びる
・飽食の時代 過剰な栄養→インスリン分泌→過剰な体脂肪蓄積→肥満、生活習慣病
〈太りやすい体質は遺伝する〉
同じカロリーを摂取しても体重に差ができるのは
「体質の差」=「個人の持つ遺伝子(遺伝素因)の差」によるものです
肥満は太りやすい体質を持つ人が、食べ過ぎや
運動不足になりやすい環境で生活することで起こります
つまり、人の肥満は「遺伝」と「環境」 の療法に関連しています
肥満の原因の約30~70%は遺伝的要因によるものです
〈同じ食生活でも太る人と太らない人がいる!?〉
例えば糖尿病の方は厳しいカロリー制限をしなくてはなりません
しかしどんなに厳しいところでも最低限のエネルギーを確保するために
一日の摂取カロリーが、1200kcalを割らないようにと指導をするそうですが
なかには1200kcalの食事でもほとんど体重に変化が出ないという方も多くいらっしゃるそうです
これは人によって肥満に対する遺伝素因が異なっているためで
その中には代謝が-300kcalされてしまう人、+200kcalされる人などの遺伝子変異があります
代謝が-300kcalされてしまう人の場合は、やはり痩せにくくなります
このような肥満遺伝子について理解していれば
自分はどのようなことに気をつけて食事をしていけばよいのかということが分かるので
他の人と比べて体重管理の結果が出にくくても慌てることなく
安全に健康な体をつくることができます
〈肥満と肥満遺伝子検査〉
人の遺伝子は、現在3200種類の働きを持つ部位が特定され
現在、約50種類以上の肥満に関係する「肥満遺伝子」が特定されています
中でも、日本人の肥満に大きく関係しているのは以下の3つです
・β-3アドレナリン受容体遺伝子(ADRB3):リンゴ型
・β-2アドレナリン受容体遺伝子(ADRB2):バナナ型
・脱共役タンパク質遺伝子(UCP1) :洋ナシ型
日本人の約97%がこの3つの遺伝子いずれかの変異を持っており
「太りやすい体質」、「痩せやすい体質」など、元々身体の持つ体質を作っています
遺伝子は、生まれてから命が終わるまで私たちの命をつくる設計図として変わることがありません
したがって一度検査してしまえば、変わることがないため
早めに調べておくことで早い段階から自分にあった食生活を心がけることができます
〈簡易的な検査法〉
頬の皮膚でたこ焼きをつくり、触ってふわふわ柔らかい場合はリンゴ型
張りがあってパッチリしている場合は洋ナシ型、頑張ってもうまくかたちが作れず
触感がない方はバナナ型のことが多いです
ではそれぞれの肥満遺伝子についてお話したいと思います
日本人の特に関連性のある3つの遺伝子はそれぞれの環境に合わせて3タイプに進化しました
人々の移動も盛んになり、多数の変異を併せ持つ、複合型も多く見られるようになりました
ダイエットや食生活を見直したいと考えられている方は
このような肥満遺伝子の観点から自分を見て、適切な対処法を身につけて頂ければと思います
次回からは、それぞれの遺伝子の特徴と心がけるとよいことについてお話したいと思います
2015年2月15日(日)
ダイエット|
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