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顎関節の構造と機能について

顎関節の構造と機能について



・顎関節の役割

顎関節(側頭下顎関節)は人体で最も活動的な関節と言われ

一日に2000回以上の運動を行っています

その役割は

1.咀嚼(ものを噛むこと)

2.嚥下(飲み込むこと)

3.呼吸

4.言語活動と多岐に渡ります


・顎関節の構造

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顎関節は、側頭骨の下顎窩と下顎骨の関節突起、その間に位置する関節円板によって

構成されています

これらの構造により、咬断、粉砕、臼磨といった3次元の動きが可能です

猫などは咬断の機能しかありません


関節円板の役割

1.閉口時に開口しないようにブレーキをかける

2.下顎頭が開口時に前方に滑る際に円板が介在することで摩擦を低減する


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顎関節の靭帯

1.関節包、関節円板関節包

下顎頭が前方移動する際、関節円板を前進させます


2.側頭下顎靭帯

開口時に下顎骨を吊り下げ、前後左右への過度な動きを防ぎます


3.茎突下顎靭帯

下顎骨の極端な前方移動を防ぎます


4.蝶下顎靭帯

下顎過剰開口を防ぎます


5.下顎槌骨靭帯

耳小骨の一つである槌骨の槌骨頚と前突起を関節包の内側後方面に結びつける

下顎槌骨靭帯の存在が報告されています

この靭帯の臨床的意義は、顎関節と中耳を解剖学的に結び付けていることであり

顎関節の治療が耳鳴りや聴力障害、めまいなどに影響を与えることを示唆しています

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*耳小骨:外側からツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つで構成される骨で、鼓膜の振動を増幅し

内耳に伝えます

耳小骨は、人体の中で最も小さい骨で、その中でアブミ骨が最小です

アブミ骨底は、内耳の入り口である前庭窓に付着しています

内耳はリンパ液で満たされており、音は空気から液体にほとんど伝わりませんが

鼓膜と耳小骨によって効率よく変換されており

耳小骨はてこの原理で、鼓膜の振動を3倍に増幅して内耳に伝えています

張力を調節する筋肉としては、鼓膜張筋とアブミ骨筋があり

鼓膜張筋はツチ骨柄から筋耳管管(鼓膜張筋半管)に付着して

下顎神経の支配を受け、鼓膜を張ることで張力を高めます

アブミ骨筋は、アブミ骨頭から鼓室後壁の錐体隆起に付着し

顔面神経の支配を受け、音の伝導を抑える働きがあります

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咀嚼筋

1.外側翼突筋

2.内側翼突筋

3.側頭筋

4.咬筋


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・顎関節の運動

口を開ける際には、まず外側翼突筋の働きによって

関節突起が前方に滑る前突という動きが生じます

その後舌骨上筋(顎舌骨筋、顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、茎突舌骨筋)

舌骨下筋(胸骨舌骨筋、甲状舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋)の働きによって

下顎骨が下方に引かれる開口が起こります

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口を閉じる際は、側頭筋、咬筋、内側翼突筋の求心性収縮

外側翼突筋上腹の遠心性収縮が起こります

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・・顎関節の神経機構

顎関節は基本的には自分の意思でコントロールできますが

テレビを見ながら食事をしたりするときなど、咬むことに意識がいっていないときには

延髄にある脳幹パターン発生器によって、その人固有の咀嚼リズムで

不随意でも咬むことを続けることができます





・顎口腔システムについて

顎関節は、機能的に噛もうとする能動的な要素と口の中に入っているものを感じ取って

脳に伝える受動的要素、さらにそれを能動的要素に還元するフィードバック機構を持っています

例えば魚を食べていて、骨が入っていた時にそれを異物として感知して吐き出すことや

味覚に関わる食感、歯の接触状態や下顎骨の位置などの感覚情報は

刻々と脳、中脳に送られ、そこで整理統合され

遠心性の指令となって効果器である咀嚼筋群に送られます

指令を受けた咀嚼筋群は強調して活動し、下顎骨の位置をコントロールすることで

咀嚼や嚥下を行っているのです

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・顎関節症について

定義

「顎関節や咀嚼筋の疼痛、顎関節の雑音、開口障害運動異常を

異常症候とする慢性疾患群の総括的診断名」


3大症状

1.疼痛:関節部、頬部、こめかみ

2.関節雑音:クリック音(弾発音)、クレピタス(握雪音、捻髪音)

3.運動障害開口障害):通常指3本分のスペースがありますが

顎関節症では、2本以下になります

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重症度による分類

1度:咀嚼筋障害(顎二腹筋、胸鎖乳突筋を含む)

咀嚼筋およびその筋膜に炎症が生じたもので

疼痛は顎運動時に認め、安静時痛はありません


2度:関節包、靭帯損傷(いわゆる捻挫)

関節包や靭帯に外傷性刺激が加わった時に生じる病変

明らかに顎関節部に限局した圧痛、顎関節運動時痛を認めます

この疼痛は受賞直後に強く、経時的に軽減していきます


3度:関節円板損傷(いわゆる顎内症)

関節円板の前方変位が主な原因で、顎関節部の圧痛および運動時痛

開口時のクリックを認めます


3度a型:開口時に、下顎頭が前方変位した関節円板の下に潜り込むことができる

3度b型:開口時に、前方変位した関節円板の下に潜り込むことができない

→片側性の場合、開口時にオトガイ部は患側に変位します


4型:変形性関節症

関節軟骨や下顎頭、下顎窩などの退行性変化が主な病変で

顎関節部の圧痛、運動痛、関節雑音を認めます

咀嚼開始時に強い痛みを訴えるのが特徴です


5型:1~4のどれにも属さないもの


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顎関節症の原因

顎関節症の原因は多因子性です

1.咬合異常(噛み合わせ)

2.ブラキシズム(歯ぎしり、食いしばり):起床時に痛い場合など

3.ストレス

4.食事、片側咀嚼:フランスパン、煎餅、チューインガムなどの嗜好品の影響

5.習慣(頬杖、うつぶせ、爪を噛むなど):夕方に痛みが増す


このように顎関節は、私たちが普段思っている以上に様々な機能を持っており

気づかないうちに負担をかけてしまっていることも多いのです

前述した原因が思い当たる方は、少しそれを控えて頂くだけでも

症状が緩和するかもしれませんので、ぜひお試しください

カイロプラクティックでは、咀嚼筋の過剰な緊張などによって

顎関節の位置や嵌りが悪くなってしまったり、動きが減少してしまうと

顎、口腔と脳での情報のやり取りがうまくいかなかくなり

顎関節症、頭痛など様々な症状が出ると考えられています

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また、頭部は顎関節と環椎後頭関節(頭蓋骨と頸椎の関節)を動かす筋によって

頚部や体幹に繋がれているため

などの不良姿勢によっても顎関節の機能は影響を受けるのです

ですから治療してもなかなか顎の症状が取れない場合には

より広く体をチェックして原因を探す必要があるのです




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プロフィール

中込慶一
(ナカゴメケイイチ)
・出身地:東京都
・血液型:O型
・昭和61年4月7日
・日体柔整専門学校卒
・柔道整復師
・全国冷え症研究所に5年勤務ののち現在は、パワープレート東京にてインストラクターを務める
・特技:スポーツ全般 陸上
・趣味:音楽・バイクツーリング
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