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パワープレートと鎮痛

パワープレートと鎮痛

痛みという感覚は、組織が損傷し

安静が必要だということを教えてくれる重要な警告の役割をしています

しかし過剰な痛みは、大きなストレスとなり、逆に体に負担をかけてしまいます

そこで私たちの体には痛みを抑制するシステムがいくつかあり

それによって過剰な痛みを調整しています


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1.下行性抑制系による鎮痛

精神的な要因で痛みの感じ方が変わることがよくありますが

これは痛みの脳からの下行性抑制によってコントロールが行われているためです

精神的な興奮や喜び、気分の高揚、注意の集中、催眠効果または暗示などの要因は

痛みの感じ方に大きな影響を与えているのです

このような精神的な要素と痛みの関係を客観的に見ることは容易ではありませんが

脳の中に痛みを調節する部位があるのではないかということについては

多くの研究が行われており、動物で脳幹を電気刺激したところ

痛み刺激で起こる反応が減弱することを1974年にMayerらが見出しました

中脳周囲灰白質(PAG:priaueductal central gray matter)の神経核からの

神経線維が、脳幹の大縫線核とその近くの傍巨大細胞網様核や

青斑核とその近くの外側網様核に下行し、そこでニューロンを置き換えてさらに

脊髄の後角に下行し、末梢神経からの痛みの情報伝達を抑えることが

明らかになったのです

このような下行抑制系による鎮痛に関わる神経伝達物質として

セロトニン、エンケファリン、β-エンドルフィン、GABA、ノルアドレナリン

グルタミン酸、オピオイドがあります

下行抑制系に関わるセロトニンは脳の縫線核でつくられ

シナプス後抑制を行います

ノルアドレナリンは青斑核でつくられ、シナプス前抑制を行います






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2.侵害情報伝導、伝達系の遮断による鎮痛

痛みは、感覚受容器が受けた刺激が末梢神経、脊髄、脳へと伝わり

大脳の体性感覚野に到達して認知されます

したがって、受容器から脳への痛みの伝導、伝達の働きを抑えることで

鎮痛が起こりえます

・末梢組織の炎症による痛みの鎮痛の例

組織が損傷されて炎症を起こすと、局所的に産生される内因性の発痛物質である

プロスタグランジン(PG)のうちPGE2とPGI2は侵害受容器の興奮性を亢進させて

痛覚を増強し、末梢の血管を拡張させて血管の透過性を高め

浮腫などの炎症反応を引き起こします

アスピリンなどの解熱鎮痛薬は、PGの合成酵素であるシクロオキシゲナーゼの働きを

阻害することにより、PG産生を抑制します

それが末梢の炎症部位の組織に作用して、抗炎症作用を発揮することで

鎮痛効果をもたらします

アスピリンはその他に、視床下部の体温調節を司る中枢部位に作用して

解熱効果をもたらします

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・筋血流不足時の痛みに対する鎮痛の例

激しい運動後、乳酸などの不要な物質が筋に溜まると

それが痛みを起こし、二次的に交感神経の活動が反射性に高まって

筋の血行が悪化し、そのために乳酸などが一層筋に溜まり、痛みが増悪します

そのような場合には、筋への軽度なマッサージなどで物理的に血行を良くしたり

交感神経の緊張を緩めるような刺激を加えて、筋への血行の改善を図ることにより

筋の鎮痛を得ることができます

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・局所麻酔薬による鎮痛の例

局所麻酔薬は、組織の損傷部位の情報伝達や末梢神経の伝導を遮断するので

侵害受容器からの求心性情報伝導をカットすることにより、鎮痛を起こします

局所麻酔薬は局所の組織の手術や神経ブロックで用いられます


・全身麻酔薬による鎮痛の例

全身麻酔薬は意識を失わせるので、痛みの認識もできなくなることで痛みを抑制します




3.体性感覚刺激による鎮痛

・ゲートコントロール説

例えば、痛みを生じている傷口の周りを軽く押さえたり、撫でたりすると

痛みが軽減することがあります

痛みは末梢神経のうちの細い繊維であるAδ、C線維により

触ったり、撫でる刺激は太い繊維であるAβ線維により伝えられますが

太い繊維の情報は細い線維の情報伝達を

脊髄後角の2次ニューロンに伝えられている部分で抑制性の介在ニューロンを働かせて

抑えることができます

このようなメカニズムは、情報伝達の入り口で抑えるということから

ゲートコントロール説として1965年に提唱されました

そして1982年に改善が加えられ、脊髄後角にある抑制性介在ニューロンは

下行性抑制系によって働きうることが示されました


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・広範囲侵害抑制性調節

1979年にルバールらが行った実験では

麻酔ラットを用いて、後肢からの侵害性情報を受け取る脊髄後角の

広域作動域ニューロンの活動が尾、反対側の後肢、前肢、耳などの体の広い部位の

侵害刺激によって抑制される現象を見出しました

この現象は、広範囲侵害抑制調節(Diffuse Noxious Inhibitory Control:DNIC

と呼ばれます

この抑制性調節は脊髄動物(脊髄と脳の接合部で切断し、脊髄のみの反射中枢にしたもの)では

存在しないため、上脊髄性(脳幹)の調節系であり下行抑制系が関与していると言われています

下行性抑制系が働くきっかけは、PAGで見られるような内因性オピオイドの放出が

考えられます

実際に痛み刺激によってPAGのニューロン活動が亢進する例が証明されており

さらに脳脊髄液中の内因性オピオイドの量が痛み刺激で増えることも証明されています




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4.内因性鎮痛物質による鎮痛

鎮痛を起こす強い薬物の体表的なものとしてモルヒネが古くから知られていました

モルヒネが鎮痛作用を発揮するためには

モルヒネが神経細胞の膜にある受容体(オピオイド受容体)と結びつく必要があります

オピオイド受容体は、μ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ)受容体などに分類されます

この受容体が働くと、Gタンパクというタンパク質が活性化されて

カリウムチャネルが開く場合と、カルシウムチャネルが閉じる場合とがあり

いずれの場合も神経の活動が抑えられます

オピオイド受容体は、痛みの伝導、伝達の経路である脊髄後角、視床、大脳皮質に

大量にありますが、それ以外の中枢神経系の下行抑制系に関与する部位である

PAG、大縫線核、青斑核、視床下部、偏桃体などにも大量に存在します

モルヒネあるいは内因性オピオイドがオピオイド受容体に作用して

痛覚の上行性情報伝達を抑えますが、その場合、上行性情報の伝達を抑える場合と

下行性抑制経路を働かせて、間接的に上行性情報の伝達を抑える場合とがあります

いずれの作用の場合でも、内因性オピオイドが痛みの情報伝達を抑えることによって

鎮痛を起こします

精神状態、情動状態により、大脳皮質、偏桃体を含めた大脳辺縁系

視床下部、脳幹の大縫線核や青斑核を含めた多くの神経核が働きます

その結果、内因性鎮痛物質のそれらの部位を含めた中枢神経系内の放出が影響を受けます

例えば、ある種のストレス状態、ある種の精神的高揚状態で内因性オピオイドの放出が高まり

その結果、鎮痛効果が現れます


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これらの鎮痛系に対し、パワープレートはセロトニン分泌を促進して

下行性抑制系を働かせる、マッサージによって乳酸代謝を高める

その他、ゲートコントロールによる体性感覚刺激という3つのメカニズムで

鎮痛を起こす可能性があります

私が担当しているお客様の中でも、パワープレートの振動の中では

普段、痛い膝が曲げ伸ばしをしても痛くないという方が何人もいらっしゃいます

この効果によって、より短期間でのリハビリが可能になり

多くの方が日常生活の不自由が無くなっています

ぜひパワープレートで効果的なリハビリを行っていただければと思います

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プロフィール

中込慶一
(ナカゴメケイイチ)
・出身地:東京都
・血液型:O型
・昭和61年4月7日
・日体柔整専門学校卒
・柔道整復師
・全国冷え症研究所に5年勤務ののち現在は、パワープレート東京にてインストラクターを務める
・特技:スポーツ全般 陸上
・趣味:音楽・バイクツーリング
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