卒業研究発表会3
前回に続き卒業研究発表会で発表されたカイロプラクティックにおける論文をご紹介したいと思います
「マニピュレーションが投球動作に及ぼす影響 -球速と投球動作解析による検討-」
・はじめに
野球における投手の能力として一番の指標にされるのが球速である。
ボールのスピードが速いというのは打者を打ち取る一つの大きな要素になり、観客を魅了させる。
また、球速が速い投手は脚を上げた状態(HK時:High knee)から接地までが一秒以内であると言われている。
これは閉進運動エネルギーを高めるために重心移動の速度を速くするとフォームのエネルギーが
高まり、ボールの初速が速くなるという結果に繋がるからだと思われる。
この研究では投球動作を解析し、その中で球速に関わる要素として
関連が高いと思われるHK時からの体幹重心の並進運動について検証し
カイロプラクティック治療を行うことにより、どの程度貢献できるかを検証した。
・対象と方法
対象は野球経験者11名、年齢20~34歳の成人男性とした。
投法は全員上手投げであり、投球に支障をきたす障害を有した選手はいなかった。
十分なウォーミングアップを行った後、平らな地面上から18.44m離れた捕球者に向かって
施術前と施術後に全力で5球ずつ投球させた。
5球の中で最高球速と最低球速をそれぞれデータとして使用した。
球速の計測にはスピードガンを使用し、投球動作の撮影には2台のデジタルカメラを用いた。
撮影した同級動作のビデオ映像から2次元動作解析ソフトMOA-2Dを用いて
HK時の体幹重心(第二仙結節)から踏み込み足接地
アクセラレーション期からフォロースルー期までの0.03秒ごとの座標を算出し
それぞれの座標から体幹重心移動速度の平均を算出した。
統計学的処理にはPEARSONの相関係数を用い球速と重心移動速度との相関を求めた。
また、カイロプラクティック治療としてモビリぜーション治療、アクチベーターを用いた治療を行い
重心移動速度と球速にどのような変化が出るかを検証した。
治療箇所には上部胸椎、仙腸関節を選択し、モビリゼーションは5分間
アクチベーターは上部胸椎、仙腸関節でそれぞれリスティングを取って3回行った。
・結果
モビリゼーション前の最高球速とHK時からフォロースルー期までの体幹重心の平均並進速度に
有意な相関が認められた。(r=0.951 P<0.05)
モビリゼーション後の最高平均球速は6人中2名が上がり、4名が下がるという結果になった。
それに伴い、被験者の重心移動速度の平均も下がるという結果が出た。
アクチベーター前の最高球速と重心の平均並進速度に有意な相関が認められた。
(最高球速:r=0.964 P=0.05)
また、アクチベーター後の最高平均球速は5人中5人が上がった。
それに伴い、被験者の重心移動速度の平均も上がった。
・考察
アクチベーターでは並進運動、球速共に速度が上がったが
モビリゼーションでは効果が見られなかった。
アクチベーターでは被験者に対して一定の出力、速度が得られるため
被験者のリスティングに対して的確な治療が行えたと考えられる。
逆にモビリゼーションは上部胸椎、仙腸関節合わせて5分間の施術を行ったため
必要以上の治療によって球速に必要な筋肉がリラックスしたのではないかと考えられる。
また、施術者の出力や速度も必ずしも一定とは言えない。
モビリゼーションに関しては、長期的治療でのパフォーマンス向上も考えられるため
一概に効果が無いとは言い切れない。
今回の検証では、並進運動でしか検証できなかった。しかし投球動作においては
並進運動から骨盤の回転運動、それらに関わる下肢の運動や、直接ボールをリリースする上肢の
運動など、様々な動きが複合される。
特に骨盤の回転運動は並進運動の後に起きる動作であるため
今後も検証する必要があるであろう。
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「マニピュレーションが投球動作に及ぼす影響 -球速と投球動作解析による検討-」
・はじめに
野球における投手の能力として一番の指標にされるのが球速である。
ボールのスピードが速いというのは打者を打ち取る一つの大きな要素になり、観客を魅了させる。
また、球速が速い投手は脚を上げた状態(HK時:High knee)から接地までが一秒以内であると言われている。
これは閉進運動エネルギーを高めるために重心移動の速度を速くするとフォームのエネルギーが
高まり、ボールの初速が速くなるという結果に繋がるからだと思われる。
この研究では投球動作を解析し、その中で球速に関わる要素として
関連が高いと思われるHK時からの体幹重心の並進運動について検証し
カイロプラクティック治療を行うことにより、どの程度貢献できるかを検証した。
・対象と方法
対象は野球経験者11名、年齢20~34歳の成人男性とした。
投法は全員上手投げであり、投球に支障をきたす障害を有した選手はいなかった。
十分なウォーミングアップを行った後、平らな地面上から18.44m離れた捕球者に向かって
施術前と施術後に全力で5球ずつ投球させた。
5球の中で最高球速と最低球速をそれぞれデータとして使用した。
球速の計測にはスピードガンを使用し、投球動作の撮影には2台のデジタルカメラを用いた。
撮影した同級動作のビデオ映像から2次元動作解析ソフトMOA-2Dを用いて
HK時の体幹重心(第二仙結節)から踏み込み足接地
アクセラレーション期からフォロースルー期までの0.03秒ごとの座標を算出し
それぞれの座標から体幹重心移動速度の平均を算出した。
統計学的処理にはPEARSONの相関係数を用い球速と重心移動速度との相関を求めた。
また、カイロプラクティック治療としてモビリぜーション治療、アクチベーターを用いた治療を行い
重心移動速度と球速にどのような変化が出るかを検証した。
治療箇所には上部胸椎、仙腸関節を選択し、モビリゼーションは5分間
アクチベーターは上部胸椎、仙腸関節でそれぞれリスティングを取って3回行った。
・結果
モビリゼーション前の最高球速とHK時からフォロースルー期までの体幹重心の平均並進速度に
有意な相関が認められた。(r=0.951 P<0.05)
モビリゼーション後の最高平均球速は6人中2名が上がり、4名が下がるという結果になった。
それに伴い、被験者の重心移動速度の平均も下がるという結果が出た。
アクチベーター前の最高球速と重心の平均並進速度に有意な相関が認められた。
(最高球速:r=0.964 P=0.05)
また、アクチベーター後の最高平均球速は5人中5人が上がった。
それに伴い、被験者の重心移動速度の平均も上がった。
・考察
アクチベーターでは並進運動、球速共に速度が上がったが
モビリゼーションでは効果が見られなかった。
アクチベーターでは被験者に対して一定の出力、速度が得られるため
被験者のリスティングに対して的確な治療が行えたと考えられる。
逆にモビリゼーションは上部胸椎、仙腸関節合わせて5分間の施術を行ったため
必要以上の治療によって球速に必要な筋肉がリラックスしたのではないかと考えられる。
また、施術者の出力や速度も必ずしも一定とは言えない。
モビリゼーションに関しては、長期的治療でのパフォーマンス向上も考えられるため
一概に効果が無いとは言い切れない。
今回の検証では、並進運動でしか検証できなかった。しかし投球動作においては
並進運動から骨盤の回転運動、それらに関わる下肢の運動や、直接ボールをリリースする上肢の
運動など、様々な動きが複合される。
特に骨盤の回転運動は並進運動の後に起きる動作であるため
今後も検証する必要があるであろう。
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2012年3月17日(土)
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