代謝について
人が生命維持、身体活動を行うために必要な栄養素を食べ物として取り込む必要があります。
この栄養素を生体内でより単純な物質に分解する反応を異化といい
これにより生物はエネルギーを獲得します。
また、この栄養素に特定の化学変化を加え、必要な物質を作り出すことを同化と言います。
私たちの体は、新陳代謝によって爪や髪の毛が伸びたりするように常に新しいものがつくたれ
古いものは排出されていきます。
・代謝:物質面から見た場合を物質代謝、エネルギー変化から見た場合を
エネルギー代謝と言います。
物質代謝には、上記の異化と同化の2つの過程があります。
エネルギー代謝には、基礎代謝、活動代謝、食事誘導性熱代謝の3種類があります。
・基礎代謝:安静時(8時間睡眠後、14~18時間絶食した状態における
安静覚醒時の完全休息時)かつ温熱中性状態(体が温度に対して一切のストレスが無い状態)で
計測される代謝で、呼吸、循環、体温、蠕動運動、筋緊張などに必要な
最小限のエネルギー量を示します。
基礎代謝は、生後、身長や体重が増えるにしたがって値は上がっていきますが
体重1㎏あたりの基礎代謝は1~2歳をピークにして徐々に下がっていきます。
ですから、ある程度歳をとって運動をやめてしまったり
食事量はそのままだったりするとどんどん太っていってしまうのです。
かといってまた食べる量を極端に制限してエネルギーの摂取を控えてしまうのもまた危険です。
例えば30~40代で53kgの女性であれば、約1150kcalの基礎代謝があるため
そこに活動量を加えて約1400kcalは摂取する必要があります。
エネルギーを制限することは簡単ですが
それに伴って必要な栄養素を摂れなくなってしまうからです。
最近は基礎代謝量を計測できる体重計が増えていますが
過剰な食事制限をしている方は900kcalという非常に低い値になっていることもあります。
ダイエットをして実際に体重が減って成功しているようでも、もし基礎代謝が1000kcalを
切っているようであれば、ベースとして消費するエネルギー量が減っているため
少し食べただけでまたすぐ太ってしまう状態なのです。
基礎代謝を高く保つには、運動とある程度の食事量と休息が必要です。
糖質ダイエットを徹底している人は、どうしてもエネルギーに必要な糖質が不足して
タンパク質や脂質からエネルギーを作り出すため、筋肉量が落ち
基礎代謝が低下してしまうことがあります。
・基礎代謝に影響を与えるもの
A. 体表面積:体重ではなく、身長が高く痩せている人ほど、基礎代謝は高くなります。
体の表面から熱が発散されているため、それに伴って体の中でつくられる熱の量が増え
基礎代謝が高まるのです。
B.
年齢:運動の有無などもありますが、基本的には年齢が若い人の方が基礎代謝は高くなります。
C. 性別:男性は女性に比べて、筋肉量が多く、体格も大きい傾向があるため
基礎代謝は高くなります。
D.
体格、筋肉質、脂肪質:筋肉量が多ければ、そこから多くの熱がつくられるため
基礎代謝は高くなります。
E.
体温:体温が1度上がると、基礎代謝は13%上がるとされており
平熱が35度の人と36度の人では、同じ生活をしていても大きく代謝量が異なります。
F.
ホルモン:甲状腺ホルモンは、骨格筋、心臓、肝臓など多くの臓器の酸素消費を高めて
基礎代謝を亢進させます。甲状腺機能低下症の方では、基礎代謝が下がるため
就寝時と起床時で体重の変化が無くなってきます。
通常では寝た時と起きた時で500g前後体重が減少するのが普通です。
副腎皮質ホルモンも代謝に関わります。
女性ホルモンであるエストロゲンは、内臓脂肪を減らし、黄体ホルモン(プロゲステロン)は
皮下脂肪に関わります。排卵から月経が来るまでの間は、妊娠可能な時期なので
皮下脂肪や水分を下半身に溜めていき、脂肪によって子宮を守り
出産のためのエネルギーを蓄えます。ですからこの時期の食事は特に注意が必要です。
次に排卵までの時期は、その逆の現象が起こるため、痩せやすくなります。
また、排卵が起こるときには、ホルモンバランスがガラリと変わるため
月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome。月経前緊張症とも)の症状が出ることがあります。
症状は落ち込み、イライラ、不安感、腹部膨満感、便秘、頭痛、乳房の痛み、むくみ
食欲不振(あるいは過食)などがあります。
G. 月経:排卵から高温期が続いて、月経時に下がります。
むくみによい食事として、カリウムを多く含む瓜系のもの(キュウリ、スイカなど)があります
排卵から月経までの期間は特に減塩するのが有効です。(女性は7.5g以下が推奨されています)
主な栄養素の食事摂取基準
推定エネルギー必要量(kcal/日)
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男性
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女性
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身体活動レベル
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身体活動レベル
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年齢
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Ⅰ Ⅱ Ⅲ
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Ⅰ Ⅱ Ⅲ
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18~29
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2500 2650 3000
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1700 1950 2250
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30~49
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2300 2650 3050
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1750 2000 2300
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50~69
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2100 2450 2800
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1650 1950 2200
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*身体活動レベル Ⅰ:ほとんど動かない状態
Ⅱ:通常の家事などを行っている状態
Ⅲ:運動を積極的に行っていたり、体を使う仕事をしている状態
タンパク質推奨量(g/日)
年齢(歳)
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男性
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女性
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18~29
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60
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50
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30~49
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60
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50
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50~69
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60
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50
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脂質:脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率:%エネルギー)
年齢(歳)
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男性
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女性
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18~29
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20以上30未満
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20以上30未満
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30~49
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20以上25未満
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20以上25未満
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50~69
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20以上25未満
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20以上25未満
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n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸
年齢(歳)
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n-6系脂肪酸
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n-6系脂肪酸
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n-3系脂肪酸
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n-3系脂肪酸
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男性
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女性
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男性
|
女性
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目安量(g/日)目標量(%エネルギー)
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目安量(g/日)
目標量(%エネルギー)
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目標量
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目標量
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18~29
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11 10未満
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9 10未満
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2.1以上
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1.8以上
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30~49
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10 10未満
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9 10未満
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2.2以上
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1.8以上
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50~69
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10 10未満
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8 10未満
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2.4以上
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2.1以上
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n-3系脂肪酸の目標量では、EPAおよびDHAを1g/日以上摂取することが望ましいです。
このように自分がどのような活動レベルなのかを把握して
それに合わせて食事の摂り方を工夫し、代謝を高めていくことで冷えない体をつくっていくことが重要です
このブログはエルクレストで、栄養学の講師をしてくださっている
米澤須美先生のお話を元に作成しています
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