漢方に学ぶ冬の過ごし方
・漢方とは
三大伝統医学として中医学、インドのアーユルベーダー
イスラム圏のユナニー学があり、アーユルベーダーはサンスクリット語で
「生命の知恵」という意味があります
ユナニー学の元になっているのは、古代ギリシャのヒポクラテスの時代で
ヒポクラテスは医学、薬学の父と呼ばれ、2000年以上前からハーブなどを用いて
治療を行っていたが、この医学とヨーロッパの医学が融合してユナニー学が誕生し
現在の西洋医学の元にもなっています
中医学の特徴は、鍼灸、気功、食用があり、中国では昔、食医という職業があり
食事から病気を予防していたり、黄帝内経という最古の書物には
女性は7の倍数、男性は8の倍数で体が変化するといったことなどが
記してあります
漢方は日本でつくられた言葉で、中医学を蘭方と区別するためにつけられたもので
日本最古の医学書である医心方には輸入した医学を元に
日本の風土などを考えて新しい医学をつくりあげたということが記され
その中で漢方は実際に行われていたが
明治時代に新政府によって少数派であった西洋医学が採用され
東洋医学は認められなくなりました
しかし、日中の国交が1972年に回復し
生薬を自然由来の医療として認めたことから漢方が
日本でも扱われるようになりました
漢方で東洋医学を表す言葉として以下のものがあります
① 天神合一
人間が自然そのもので、症候や症状を一面的に捉えるのではなく
なぜ病気になったかという本質を考えるというもので
現在でいうホリスティックに繋がる考え方です
② 扶正祛邪
正気を助けて、邪気を取り除くという意味で
邪気には寒邪、燥邪、風邪、暑邪などが正気に勝ってしまうと病気になると
説いており、悪いところだけでなく
自然治癒力を助けるということの重要性を示しています
③ 心身一如
心と体は相互関係があり、治療法や薬だけでは病気は治らず
病気を治すのは人そのものであるという考え方
・陰陽五行説
陰陽説と五行説から成り、万物を陰と陽、五行に分けるという中国の思想を
医学に当てはめたもので、対極図に表れているように陰と陽が互いに対立し
依存し、転化するという関係があり、常に変化する相対的なものであるとしています
五行説は木、火、土、金、水に季節、感情、五臓である肝、心、脾、肺、腎を
当てはめており、木には成長という意味合いがあり、火が強い時には
体の熱が上に上ることでほてるといった症状が出て、土には受容する
変化というもので、金は静かで、清涼なもの、水は冷たく
低いところに行くといった特徴があり、これを病気の症状に当てはめています
これらは相性関係が成り立っており、木は燃えて火を生み出し
火はものが燃えた後、土となり、土から金属が取れ、金属は冷えて水を生み出し
水は木を育てます
それに対して相手を討ち滅ぼす相克関係という関係もあり
木は土から養分を奪い取り、土は水を濁し、土砂をせき止める、火は水を消す
金属は火によって溶かされ、金属の斧は木を切り倒すというものです
・気血水
① 気
体の構成と生命エネルギーの源であり、絶えず変化し陽の性質を持つ
ものを固める(排泄や生理、内臓の位置を正常化する)、ものを変化させる
東洋医学で脈診をする時には
3本の指を使って3つの流れの浅いところと深いところ
前後の流れを左右で見ての合計14本の気の流れを診ることができます
② 血
血は血液に近い意味合いで、陰の性質を持ち、全身に栄養を送り
潤すという働きがあり、血が充実していると、肌や筋肉
毛髪に潤いがあるとともに精神活動にも影響を与え
感覚を鋭くするといった作用もあります
③ 水(津液)
津液は体の中にある水分のことで、体の水分は約60%あり
臓器に含まれるもの、組織の間質液なども含まれ
全身を潤し、臓器、筋肉、粘膜、毛髪を潤し
関節の動きを滑らかにする働きがあります
東洋医学では四季を人の一生に当てはめており
春は青春と言われるように若い時を示しており冬に向かうに従って
加齢による体の機能が低下していくことを表しています
冬の臓器である腎には気を溜めておく働きがあることから
腎を充実させておくことが長生きの秘訣であるとしています
長い歴史の中で作り上げられた東洋医学に基づく生活を心掛けて
冬の寒さに負けない体をつくりましょう
このブログはエルクレストで、メディカルハーブや
漢方の講師をしてくださっている渡辺 肇子 先生のお話を元に作成しています
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