メディカルハーブについて
メディカルハーブとは
ハーブとはヒトの生活に立つ植物の総称で、日本語では「薬草」や「香草」と訳され
日常生活で大きく分けて8つの分野で活用されています
① 食品(約40年前に海外で料理を学んだ人が持ち込んだのが最初)
② 飲み物(リキュールの色付けなどにも使われている)
③ 健康(メディカルハーブ)
④ 化粧品
⑤ 香料(揮発性の高いものを集めた精油がアロマセラピーとして使われるが、肌に使う場合は濃縮されているため、希釈して使う)
⑥ 染物
⑦ 栽培(趣味、園芸療法)
⑧ 祭祀
③のようにハーブを健康の維持、増進や美容の分野に利用するもの
ある種の機能を有する植物性食品を含んだものを
メディカルハーブ(英語ではメディスィナルハーブ)と言います
ただし、日本では薬品としては認められていません
メディカルハーブは医薬品ではなく食品であり、自然治癒力に働きかけます
現在使用されている医薬品のおよそ半分はメディカルハーブにルーツがあると言われています。
痛みどめの成分は、元々柳の木の皮を取ってかじっていたと言います。18世紀になると
柳の木の皮に含まれる様々な成分の中から痛みを抑えるのに有効なものだけを取り出せるようになり
さらにそれを他の物からより簡単に作れるようにしたものが現在の医薬品なのです
実際に木の皮に含まれる有効成分はサリシンという成分でしたが
胃を荒らすなどの副作用が強かったために化学的に加工したものがアスピリンです
・自然療法(ナチュロパシー)
近代医学(西洋医学)以外の、主に伝統的な療法を代替医療や相補医学と言います
その多くは、健康管理や病気の予防を重視すること、そして治療には
自然治癒力を利用するという共通点があります
アベノミクスの第三の矢として、食品について保険の効くものと効かないものを分けるのではなく
混合医療として合わせていこうという流れもあります
これを「自然療法(ナチュロパシー)」と呼び、メディカルハーブもその位置分野に当たります。
植物療法は、最も歴史がある自然療法と言えます
・自然治癒力
自然療法では、健康な時の人の体は全体的に一定のバランスが取れた状態であると考えます
これが崩れると病気になるのです
自然治癒力は崩れたバランスを元に戻すように働きかけます
津城近代医学では、菌に感染したときには抗生物質を使ってその原因菌を退治しようとしますが
本来は元々身についている自然治癒力によって治すことができます
自然療法では、人を心も含めて全体的(ホリスティック)に捉え
その全体のバランスを見ます
これが、外から来る病気の原因や病んでいる部位にだけ働きかけようとする近代医学との
大きな違いです
メディカルハーブの成分と作用
ヒトは従属栄養生物と呼ばれ、植物や動物を食べなければ生きていけませんが
植物は水と二酸化炭素、太陽光があるだけで
グルコースを作り出すことができる独立栄養生物と呼ばれています
・光合成
植物は空気中の二酸化炭素と根から吸い上げた水を、太陽の光で反応させてブドウ糖をつくります
ここから炭水化物、脂質、アミノ酸、タンパク質など植物が必要な物質が合成されます
その過程で、色々な植物化学成分(フィトケミカル)も合成されます
これらがメディカルハーブの有効成分です
二酸化炭素 + 水 → グルコース + 酸素 + 水
・植物化学成分
植物化学成分の種類は、1種類の植物だけでも数百という数になります
含まれている成分のグループが分かれば、ハーブ全体の持つ作用を大まかに知ることができますが
それがすべてではありません
・食品の機能
① 一次機能(栄養機能、エネルギー源):生命維持のための栄養面でのはたらきを指す
② 二次機能(おいしさ):食事を楽しむという味覚、感覚面でのはたらき
③ 三次機能(体調調節):生体の生理機能の変調を修復するはたらき
・メディカルハーブの共通作用
① 抗酸化作用:植物は根を下ろしているため、常に紫外線などの酸化要因にさらされているため
それから身を守るために強い抗酸化物質を作り出している
② 利尿、発汗、消化:代謝を促進することでこれらの作用を示す
③ 抗菌作用:病原微生物(細菌、カビ、ウィルス)の中で、薬が効きづらいものに対しても一定の作用がある
④ 栄養素の補給:ビタミン、ミネラル、種には脂肪も含まれている
⑤ 薬理作用
・フィトケミカル
植物の含まれる化学成分の総称で、野菜や穀類、果物、などの色素、渋み、香り
辛味、灰汁などの成分で、多くは高い抗酸化力を持っており
ポリフェノール、カテキン、リコピンなどがあります
各種フィトケミカルの機能性の研究は現在も行われており
ガンを予防する植物エストロゲンなどが発見されています
・フィトケミカルの共通作用
① 生体防御作用:アダプトゲン作用(免疫、内分泌調整作用)による心身症の予防
② 抗酸化作用:SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)様作用
(活性酸素除去)、代謝促進作用による生活習慣病の予防
・植物化学成分(花や根に含まれる)
① アルカロイド:強い苦味があり、中枢性に働くため作用が強く
薬の成分として使われることもあり
代表的なものとしてはカフェインがあります
② タンニン:渋みが強く、ローズなどに含まれる。引き締め作用や抗炎症作用
下痢止め作用が有り、化粧品や薬の成分としても使われます
またタンパク質を固める性質があり、樹皮などにつけられた傷はタンニンによって修復されます
③配糖体:糖とその他の成分が結合したもので、水に入ると切り離され
様々な作用を発揮するもので、心臓が弱っているとき
下剤などの成分として薬品に使われているものもあります
④ サポニン:語源はシャボンで水に入れると泡が出るというもので
風邪薬や咳止め薬として使われる他、ホルモン様作用を持つことから
更年期の症状に良いとされています
⑤ 苦味質:苦味があり食欲不振などに対して胃や腸の働きを整える作用があります
アルカロイドも同様で、精油の中にも防虫作用をもつものがあります
⑥ 粘液質:粘液質は保湿作用があり、喉の乾燥やバスハーブとしても用いられます
⑦ フラボノイド:アイボリーや薄黄緑色という意味のフラバスという言葉からできた言葉で
多くの種類があります
そばに含まれるルチンは毛細血管の働きを高めるという作用があり
またビタミンCとの相性が良く、双方の働きを高める。
そのほか利尿作用、下剤の作用、腹痛に有効なものなど多岐にわたります
⑧ ビタミン、ミネラル:タンパク質などの吸収、活用を助けます
・成分の相乗効果
大きな特徴は、複数の成分が相乗効果を発揮することです
これには別々の成分が同じ作用を持っていて効果が増す形と
一つの成分の作用を別の成分が補助する形があります
エルダーフラワーの利尿作用は
フラボノイドの利用作用とカリウムの利尿作用が相乗的に働いたものです
また、ローズヒップは一緒に含まれているクエン酸などが
体内でのビタミンC利用効率を高めるため、単にビタミンCの錠剤を使うよりも効果が増大します
・多方向への作用
1種類のハーブで心身の両方に同時に効果をもたらすことができることも
医薬品には見られない特徴です
ジャーマンカモミールを胃のケアに利用するときには、胃壁に直接働く消炎作用を持つ成分と
芳香成分に気分をリラックスさせる作用があるため
傷んだ胃の修復とストレスの修復とストレス解消の両方を目的とします
ローズヒップは、一緒に含まれているクエン酸などが体内でビタミンCの利用効率を高めるため
単にビタミンCの錠剤を使うよりも効果が増大します
同じことを医薬品やろうとすれば、最低でも2種類の薬が必要になります
エキナセア:免疫を調整する作用があり、風邪などでは免疫力を高めて
ウィルスに勝てる状態をつくります
アレルギーなど免疫が過剰に働いている場合には
正常範囲内に調整する働きもあるのがメディカルハーブの特徴です。
・調整作用
メディカルハーブの使い方では、たびたび同じハーブを正反対の症状に用いることがあります
ハーブには多様な成分が含まれるからです。
1.肌の調子を整える作用に優れているのなら、乾燥肌と脂性肌の両方に利用できる
2.腸の調子を整える作用があれば、便秘と下痢の両方に使える
メディカルハーブの作用の現れ方はとても多様で
使う人それぞれの心身の状態によって変化すると言っても過言ではありません
このように身体の機能を助ける多くの成分を含んだメディカルハーブは
冷え性などの体質改善にとても有効です冷えは万病のもとと言われ
体温調節を始めとしたホメオスタシス機能が低下していることを表しています
冷え性が基礎になっていて起こる便秘や頭痛、肩こり、生理痛といった不定愁訴は
そういった状態のサインですので、適度な運動、食生活に加えて
メディカルハーブのような健康補助食品をうまく活用して
身体の機能が100%発揮できる状態をつくりましょう
このブログはエルクレストで
メディカルハーブや漢方の講師をしてくださっている渡辺 肇子 先生のお話を
元に作成しています
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