女性のトラブルとメディカルハーブ
・ホルモン
ホルモンは現在70種類以上あり、その語源はラテン語のホルマオで刺激する
目覚めさせるという意味があります
今から150年ほど前にドイツのベルトールドが、雄鶏を去勢すると鶏冠が収縮し
性行動が失われ、他の雄鶏から精巣を移植すると
それらが元に戻るという実験を行い、ホルモンによって雄らしさ
雌らしさが分化していくことが明らかになり、約100年前にはイギリス
ある刺激によって特定の組織や器官で作られたホルモンが血中に放出され
また別の部位に刺激を与えるというシステム(内分泌系)の存在が発見されました
内分泌系とは、内分泌腺で作られ血管を通して移動するという全て体内で
完結している分泌システムことを言います
・ホルモンの働き
間接的に臓器に作用するもの、直接的に臓器に作用するものがあり
発育、生育の調整、自律神経の調整に関わります
ホルモンには鍵と鍵穴の関係があり
特定のレセプター(受容体)としか結合しない仕組みになっており
また分泌が必要量に達すると分泌を止めるフィードバック機構が備わっています
・女性ホルモン
女性では、視床下部から生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンが
下垂体の前葉に働きかけ、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンを放出させ
それらが卵巣に働きかけエストロゲンが卵胞ホルモンを放出し
卵胞の形成を促進し、それと同時にプロゲステロン(黄体ホルモン)も放出され
着床の準備をするという過程が28日周期で起こります
・月経周期
卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンは排卵日に分泌量がピークになり
卵巣で卵胞の成長によって成熟したものが排卵され
黄体となり受精が起きなければ白体となって消滅します
卵胞の成長を促進するエストロゲンは分泌のピークが排卵日の前になり
着床の準備をするプロゲステロンは排卵日よりも後にピークがきます
生理前症候群(PMS)の多くは生理が始まる数日前から起こり
イライラや痛み、消化器系の不調が主な症状で
この時期はエストロゲンとプロゲステロンが減少してきており
両者のバランスが乱れることで起こります
閉経の前後約5年の時期に起こる更年期障害では
社会的な立場の変化や卵巣の機能低下によるエストロゲンの減少によって
卵胞刺激ホルモンの分泌に見合った量のエストロゲンが出なくなり
司令塔である下垂体や自律神経の失調が起こります
200種類にも及ぶ様々な症状が引き起こされ
代表的なものとして、骨粗鬆症、動脈硬化、ホットフラッシュ
肩こり、疲労、抑うつがあります
・ホルモンとハーブ
女性の体は一生を通じてホルモンの働きに強く影響されており
本来安定しているはずのホルモンが精神的なストレスなどによって
大きく崩れてしまうことがあり
このようなホルモンバランスの乱れに対してメディカルハーブを用いることで
ホルモン療法の様な副作用がなくより穏やかに体が本来持つ力を引き出し
バランスを整えることができます
〈月経痛やPMSに使われるメディカルハーブ〉
・ラズベリーリーフ
別名、出産準備のお茶と言われており
出産の約3カ月前から飲むことで子宮や骨盤周辺の筋肉を調整する作用があり
生理痛や生理前の痛みなどに有効です
・ジャーマンカモミール
体を温める働きがあり、ラズベリーリーフとブレンドして飲んでも構いません
・チェストベリー、ブラックコーシュ
アルカロイドによる中枢作用があり
脳に働きかけることによってホルモンのバランスを調整します
・セントジョーンズワート
気分の落ち込みを改善し、月経前の精神的な症状を改善します
・リンデン
ジャーマンカモミールと同様にフラボノイドを多く含み
体を温める効果があるため腹痛などにも有効です
・アンジェリカ
漢方薬に使われるトウキの別名で、血行改善に有効です
痛みの改善にはアロマセラピーが有効で
マッサージオイルのベースとしてマカダミアナッツオイルや
スイートアーモンドを10mlに対して2滴を加え
痛みのある場所にクラリ、セージ、ゼラニウムを使うと
月経痛やPMSに効果があります
その他、ネロリ、ローズ、メリッサをベースにホホバオイル
月見草オイル、小麦胚芽オイル等と用います
更年期には、セージがホットフラッシュに対してほてりを抑える働きがあります
オフィスワーカーズ症候群は偏頭痛、緊張性頭痛、不眠、月経不順、食欲不振
肩こり、ドライアイ、冷え等の症状がありますが
目にはハイビスカスの赤い色素に含まれるアントシアニンが有効で
頭痛にはミントが有効です
このブログはエルクレストで、メディカルハーブや
漢方の講師をしてくださっている渡辺 肇子 先生のお話を元に作成しています
コメントする