免疫、ホルモンとハーブ
・免疫学
免疫とは、生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象で、自己と非自己を識別し非自己から自己を守る機構で、古代ローマの時代から知られていました
ある病気になるには病原菌が原因になっているということが分かり、イギリス人のエドワード・ジェンナーが、牛の天然痘を使って人の免疫を研究し、世界初の予防接種をつくりました
予防接種のワクチンという言葉は天然痘の学名である『ワクシニア』からつけられたものです
免疫の本体は抗原、抗体というたんぱく質であり、体の外にあるたんぱく質を全て抗原と呼び、その中にアレルギー物質などが含まれます
抗原と抗体は鍵と鍵穴の関係になっており
生体は多様な抗原に対して抗体がつくられ
自分の体の構造以外のたんぱく質を見分けて攻撃、排除します
見分けられずに自分の細胞を攻撃してしまうものを自己免疫疾患といい
リウマチなどがあります
体は抗原の情報を記憶しており、一度抗体をつくれば同じ抗原が入ってきたときにすぐ抗体をつくることができます
抗体は免疫グロブリンというたんぱく質で、人の場合5種類あり、IgA、IgE、IgG、IgD、IgMに分かれます
IgM、,IgGは異物が体内に入って、すぐに反応し増えます
IgEはアレルギー反応を起こします
花粉症は、花粉が抗原となり粘膜と接触した際に抗体であるIgEが肥満細胞のレセプターと結合して、ヒスタミンなどの化学物質が放出され毛細血管の透過性亢進によって鼻水や鼻づまりの症状が出ます
IgAは母乳の中に多く、免疫機能が未熟な乳児の免疫を補っています
〈体での免疫に関わる器官〉
・胸線
・脾臓
・リンパ管
・リンパ節
免疫に関わる細胞は骨髄でつくられています
免疫システムは全身に張り巡らされているため情報のやりとりが必要になり、その役割を担っているたんぱく質を『サイトカイン』と呼び、インターフェロンやインターロイキン(腫瘍壊死因子)などがあります
・ホルモン
ホルモンはラテン語の「刺激する、呼び起こす」という意味を持つホルマオが語源であり内分泌線でつくられ、血中を移動して標的となる器官にだけ作用し、ごく微量で一定の変化を与える物質で60~70種類存在します
〈内分泌線の名称〉
・松果体
体内時計の調整とリズムをつくるメラトニンを分泌する
・視床下部
下垂体前葉に働きかけるホルモンを分泌する
・副腎皮質
コルチゾールなどのステロイドホルモンを分泌する
・膵臓
血糖をコントロールするインスリンやグルカゴンを分泌する
・卵巣、精巣
卵巣は女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロン、精巣はテストステロンを分泌する
〈ホルモンの働き〉
成長、発育に影響を与えるものや、自律神経、内部環境、本能を調整するものがあり
特定の受容体と結合することで効果を発揮し、ゆっくりと作用します
・ホルモンとハーブ
〈チェストベリー〉
ホルモン様作用を持ち、本来のエストロゲンより効果は弱いものの、エストロゲンが分泌されたときと同じような効果があります
子宮内膜症などは女性ホルモンのバランスが崩れ、プロゲステロンに対するエストロゲンの過剰分泌が原因の一つと言われており、エストロゲン様作用を持つものを摂取することで、ホルモンを受け取る受容体にエストロゲン様物質が結合することによって作用が穏やかになり、プロゲステロンとのバランスをとるといった効果もあります
〈エキナセア〉
免疫力を高める働きが非常に強く、風邪の予防や引き始めに有効です
〈エルダーフラワー〉
風邪の引き始めに有効で、免疫力を直接高めるのではなく、フラボノイドを多く含んでいるため、体を温めたり発汗を促すことで邪気を追い出すという効果があり
また、カタル症状と呼ばれるのどの痛みや鼻水などの症状を緩和します
〈タイム、セージ〉
抗菌作用があり、お茶として飲む、蒸気を吸入する、濃いめに出してうがいをするだけでも効果を発揮します
〈マッシュマロー、マローブルー〉
アオイ科の植物で、粘液質を多く含むため飲むことでのどを保護したり、お風呂に入れることで保湿効果があります
〈ネトル〉
植物の血液である葉緑素を多く含んでおり、人の体に取り込むことで血液の改善し貧血にも効果があります
このブログはエルクレストで、メディカルハーブや漢方の講師をしてくださっている渡辺 肇子 先生のお話を元に作成しています
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