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2012年11月

2012年11月

山口先生講習会 -⑦- 冷えと痛みの関係について(3)

代々木公園店美顔店元店長の木村です。


今回も H.18.3.12に渋谷で行われました、伊藤超短波主催の整骨院や整体の先生向けセミナーでの山口勝利先生の講演内容をお伝えして行きます。




前回のお話では、①大脳皮質の知覚野 ②大脳辺縁系   ③大脳皮質の運動野 ④視床下部  の痛みの経路に対するアプローチをしないといけない、とお伝えしました。




山口先生は、整形外科にいた頃にアンケート取りをした事があるそうです。

痛み止めの効果が効く人、これはおよそ30%。

これは①の、大脳皮質の知覚野に関する痛みに効きます。

残りの60~70%は②~④の痛みを感じて治療をしに来ているのです。

しかも、整骨院はこちらの患者さんが多いのです。

一つ一つどうアプローチしていくか。

特に意識して頂きたいのは、②大脳辺縁系のタイプです。

この人達には、安心と信頼を得ないといけません。

よく話を聞いて、説明するのが基本になります。

例えば、肩が痛くて腰が痛い。

起きた時にどういう訳か膝も痛くて...と言われたとします。

その時、治療する側としては忙しいのでついつい、じゃあそこをやりましょう、と言ってしまいがちです。

しかしそう答えてしまったその瞬間、その人の中で信頼関係は一気に崩れます。



ヤレヤレ.jpeg




そういう受け答えはNGなのです。

正しい受け答え、それは言われた事を復唱する。これで良いのです。

大脳辺縁系に刺激を受けやすい人は、これで納得し、大人しくなります。

でも、そこで、はいわかりました、と受け答えると怒涛のように言葉が出始め、いずれ目の前から消えてしまうのです。

相手の信頼を勝ち取らないといけないのが、このタイプです。

患者数の多い接骨院などでは、先生方はもちろんこの4つの分類が頭にある訳ではないですが感覚的に捉えて色々と工夫をしてアプローチしています。

ところが、患者さんが少なかったり、減ってきた、という先生の所はほぼ①の部分しかやっていないのです。

例えば電流が効かなくなったら直流電流をかける、低周波がだめなら緩衝波を入れたりとか...

①だけのアプローチになってしまうから患者さんが増えないのです。


今の時代、激戦区にも関わらず分室で、1日300~400人患者さんが来る先生の所があります。

手技がメインの先生でも、この4つの痛みの経路を分類してきっちりやっているのです。



肩もみ.jpeg



1番問題なのは④視床下部です。

これはどうすべきか、というのを論議してきました。

私たちの日常において、この交感神経の緊張を非常に増やしてしまうものが一つあります。

これが「冷え」です。

冷やすということは、痛みを増悪させる。

例えば、生理痛がひどいとします。

その時、バケツに水と氷を入れてそこに足を入れようと思いますか?




氷.jpeg




そんな事をしたら痛みは増幅すると思います。

座骨神経痛の場合もそうです。

冷やした事によって交感神経が緊張し、痛みを誘発してしまいます。

冷えというのは交感神経に対して緊張させる要因が強いです。

多くの患者さんに来ていただくために、この4つの痛みに対してそれぞれアプローチ出来ないと難しい時代になってきたということなのです。

例えばですが、病院に行くと生まれたばかりの赤ちゃんに対して

「○○様、どうぞお入り下さい。」

なんて言っている、そんな時代になっています。




小児科.jpeg




そういう時代の中で、やはり痛みに対しても細分化して捉えていかないと、先生方の所に来ている患者さん達がどんどん違う所に逃げて行ってしまうのです。

この部分が、冷え学の根本をなすことになってくるのです。





冷えについてはこちら

Written by Keiko Kimura


山口先生講習会 -⑥- 冷えと痛みの関係について(2)

代々木公園店美顔店元店長の木村です。


今回も H.18.3.12に渋谷で行われました、伊藤超短波主催の整骨院や整体の先生向けセミナーでの山口勝利先生の講演内容をお伝えして行きます。



前回では、痛みの信号が脳の4つの部分に入ってきてそれぞれの箇所によって反応が異なることをお伝えしました。


そして①大脳皮質知覚野における反応・対処などを説明しました。


今回は、②大脳辺縁系、③大脳皮質運動野、④視床下部における説明をお伝えします。




大脳辺縁系は本能や感情の部分なので怒ったりイライラする、このようなことが起こります。


どこかが痛い時に怒ったりイライラしたりするのは人間の本能です。


しかし、大脳辺縁系に特に強く刺激が入る人はどういう人でしょうか。

これは、日々痛いと感じる場所が変わる人です。

また、先生方が何十回も言っている事よりもTVの情報や、隣の斉藤さんの言う事を信じます。

宗教などにも信仰が厚い。

とにかく信じやすい人です。

こういう人達は安心と信頼がないとドクターショッパーを繰り返す事になります。


黄昏時.jpeg




整骨院など、来院患者数としてはこういう人が多いはずです。


大脳皮質運動野に入るとフィードバックするので、筋肉が緊張します。



 すると筋肉が張ってきます。



 痛む所は筋肉が張るので先生方も電気を当てたり、マッサージを行い、緩和・弛緩させたりすると思います。


④視床下部。簡単に言うと、これは交感神経を緊張させるということが脳の中で起きてしまうのです。


交感神経が緊張しますので、この部分に対しては整骨院レベルでは少しアプローチが弱いように思います。


例えばスーパーライザーで星状神経節に照射する療法があります。

スーパーライザーとは、直線偏光近赤外線治療機器のことです。

「近赤外線」という特殊な光をスポット状に照射することを
可能にした光線治療機器です。

この光は体の奥まで届くことで知られる
「近赤外線」の中でも特に生体深達度の高い波長帯を取り出し、
レーザーに似た特性をもたせてあります。



この光の照射には主に2つの効果があります。

(1)鎮痛・消炎(痛みとはれをひく)

(2)自分で病気を治そうとする能力を引き出す効果


笑顔男女.jpeg




星状神経節(大きな神経のツボ)という
最も重要な神経の集まっている所に光をあて、
ストレス等で緊張している神経を正常な状態に戻し、
血行を改善する事により、多くの病気に効果を発揮する、ということを目的とします。

しかし残念ながら、あまり効果が出ないのです。

患者さんの感覚としての効果というより、データで良い結果が出ないのです。

ちょっと意味合いが変わってくるのですが、データを取ると血流量の変化が15%位しか上がらないのです。

15%というとほとんど変化がないのと同じです。

2台、3台スーパーライザーを同時に使って治療したとしても結果は同じです。

ではどうすればいいのでしょうか。

リフレクソロジーをやれば良いのでしょうか。




マッサージイラスト.jpeg





はたまた、アロマテラピーマッサージをすれば良いのでしょうか。

山口先生が一生懸命、1時間以上渾身のマッサージをしたとしても、データ的にはほとんど変わらないのです。

その時は良くても、次の日にまたやって来て、

「昨日やってくれた時は良かったんだけど...」

という話になるのです。

要は中身は何も変わらないということなのです。




痛みに対して、①~④の治療をしていかなければ、その不快感を取り除くのは難しいということになります。





冷えについてはこちら

Written by Keiko Kimura

山口先生講習会 -⑤- 冷えと痛みの関係について

代々木公園店美顔店元店長の木村です。


今回も H.18.3.12に渋谷で行われました、伊藤超短波主催の整骨院や整体の先生向けセミナーでの山口勝利先生の講演内容をお伝えして行きます。


 痛みと冷えの関係について


これは非常に密接な関係があります。

 そもそも、なぜ痛みを感じるのでしょうか。

 深く考えると凄く難しいですし、これを説明しだすと時間が掛かってしまうので、詳細は省きます。

 簡単に言うと、どこかをぶつけた時に色々な物質が出て、それが神経の終末にくっつき、その信号が脊髄に入ります。
 


ボール顔面.jpeg




 そして、脊髄の三ヶ所の後角・前角・側角に入っていきます。

  後角は、

 ①大脳皮質 知覚野

 ②大脳辺縁系

 前角は、

 ③大脳皮質 運動野

 側角は、

 ④視床下部

 に入っていきます。


 少し話がずれますが、痛みは大きく分けるとこの4ヶ所に入っていきます。

 ①知覚野では、痛みとして認知します。

 ②大脳辺縁系は本能や感情の部分なので怒ったりイライラする、このようなことが起こります。



口喧嘩.jpeg



 どこかが痛い時に怒ったりイライラしたりするのは人間の本能です。



 ③運動野に入ってフィードバックするので、筋肉が緊張します。



 すると筋肉が張ってきます。



 痛む所は筋肉が張るので先生方もマッサージを一生懸命すると思います。



 ④視床下部。簡単に言うと、これは交感神経を緊張させるということが脳の中で起きてしまうのです。



 という事は、痛みの治療をするにはこの4種類の治療をしないと痛みは取れない、ということになってきます。



 例えば、

 ①大脳皮質の知覚野の痛み
 に対しては鎮痛剤が効きます。



 山口先生とか、鍼灸整骨院の先生方のレベルで言うと、Aデルタという無痛覚神経に対して、例えば微弱電流、直流電流、高電圧などを使って強い刺激を加えるということをやります。



 これで疼痛を感じさせず、鎮痛効果を出すというのは一般的にやられています。



 アテネオリンピックに出ていた柔道の阿武教子選手は、試合直前の練習でひどいケガをしました。



 試合に出られないのでは、と危ぶまれたそうです。



 そこに高電圧をかけ、疼痛を緩和させて出場、見事に金メダルを取ることができたそうです。




阿武金メダル.jpeg




 あと、鍼灸の分野でいえば、座骨神経に鍼を打って良くする事などは昔から行われています。



手技でも、強い刺激を与えたりして痛みの緩和をするのはやっていますよね。



これらは、大脳皮質の知覚野に対するアプローチということになります。








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Written by Keiko Kimura


冷え性とメディカルハーブ

・冷え性とその治療の現状

西洋医学では「冷え性」という病名はなく

何かの病気がありその影響で冷えが起きている場合には

原因となっている病気の治療を優先し、冷えそのものの治療はあまり行われていのが現状です

また、冷たく感じることだけが冷え性ではなく

冷えを自覚していない人も多いことが、一番の問題です

そのため、直接肌を触って皮膚の温度がどうかを確かめ

冷えがあるのかどうかを自覚し、早めに対処することが重要です

冷え性は特別な病気が無いにも関わらず、手や脚が冷えるもので

はっきりした病気ではないため西洋医学では適切な対応ができませんが

体質改善を目的としている伝統医学ではアプローチすることができます

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 ・冷えは万病の元

女性に多く見られる冷え性には、腰からしたが冷たい、手足の指先が冷たい

顔はのぼせているのに足が冷たいなどの感覚があり

それに伴って頭痛、肩こり、腰痛、風邪、神経痛、さらに月経痛、月経不順など

様々な症状の現れることがあります

さらに冬になると、暖房によって温められた空気が天井に集まって床が冷え

室内が寒い状態になりやすいことも考える必要があります


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・冷えの原因

冷えの原因は生活環境や習慣におけるストレスや

自律神経の乱れによって全身の血行循環が悪くなり

身体の上下の温度差を調整できなくなったことによって起こる
と考えられており

血行を改善することをまず優先します


autonomic35.jpg


 ・冷えによく用いられるハーブ

① ジャーマンカモミール

② エルダーフラワー

③ リンデン

④ イチョウ

⑤ ターメリック

① ~③のハーブはフラボノイドを多く含み、毛細血管への血流を高め

体を温める、発汗を促すといった作用があります

イチョウは脳の機能を高め、記憶力の改善に効果があるとされており

アメリカではきちんとした製造過程でつくられたものは

医薬品としてアルツハイマーの治療などに用いられています


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・ハーブティーの淹れ方


① ティーポットでいれる:ティーポットに細かくした規定量のドライハーブを入れ

熱湯を注ぎ、蓋をして抽出し、茶こしを使ってカップに注ぐ


 ② 鍋でいれる:鍋に規定量の水を入れ沸騰させ

火を止めてから細かくした規定量のドライハーブを入れ、蓋をして抽出する

これらのハーブは飲むだけでなく

サプリメントや足浴として使うこともリラックス効果もあり

自律神経バランスを整え冷えに有効です


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herb tea34.jpg
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東洋医学における冬の過ごし方

・東洋医学での冬

東洋医学では、冬は立冬から始まり小雪、大雪、冬至、小寒、大寒を経て立春までの三ヶ月を言い

さらにこの三ヶ月は閉蔵と呼ばれます

この時の過ごし方として、環境の変化に体を合わせていくことが

健康で生活するために必要です

素問・四気調神大論では、「人は陽を乱さないように早寝し、必ず日光を待ってから起きる。

志を内に潜ませて隠れるようにし

私心があっても抑えるかのように気持ちを出さないような精神状態にさせる。

寒を避け、暖をとり、皮膚を外に現さず、気を外に逃さないようにする。

これは冬の気に応じて蔵を養う方法である。

これに逆らうと腎が損なわれ、春になると手足が冷えて萎えやすくなり

春の生を体に受けることが少なくなる。」と述べられています


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・冬の養生

冬の養生の原則は腎気(生命エネルギーが溜めているところ)を衰えさせないように注意すると共に

寒さから身を守ることが重要です


① 寒さから身を守る:脳や心臓の血管障害が起こりやすいため

血管に負担がかからないように部屋などを温めておく

② 腎の働きを助ける:冬は日照時間が短く、陰が強い季節のため

エネルギーを溜めることを心がける必要があり

それがうまくできなければ頻尿や膀胱炎といった症状が起きてくる

③ 腎を保養する:根菜類(人参、大根、レンコン)を多めに摂るように心がける


根菜.jpg 



・冬の過ごし方

① 睡眠時間をたっぷりと取る

② 暖房が強すぎると、汗をかくとともに溜めていた気を消耗する

③ エネルギーを蓄える季節のため無理なダイエットは避ける

④ 特に首、足首、腰を冷やさないようにする

⑤ 消耗の強い運動は控える

⑥ 鍋やスープなどの温まる食事を心がける

⑦ 風邪の流行る季節のため、柑橘類などからビタミンCを多めに摂る



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これらのことに気を配ることは、体質改善を一番の柱としている東洋医学ならではの

健康法です

病気なってから健康について考えるのではなく

病気は普段の生活から生じているものが多いということを意識することで

心身ともに溌剌と冬を過ごせると思います


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山口先生講習会 -④- データの種類

代々木公園店美顔店元店長の木村です。


今回も H.18.3.12に渋谷で行われました、伊藤超短波主催の整骨院や整体の先生向けセミナーでの山口勝利先生の講演内容をお伝えして行きます。





 前回からデータ、データと言ってきましたが、今回はそのデータとはどのようなことをして得ているのかをお伝えしていきます。


 まずは、基礎代謝を計るため酸素の摂取を見る機械です。深部体温を計ったりするのですが...

 医療現場では、体の中の温度を計るには直腸に8cm位体温計を入れて計ります。



体温計.jpeg




 実際、患者さんにそのような事は出来ないので体表面から計ります。

 これは30分寝たきりになります。

 他に、100gの組織に流れる血流量
 を計ったりもします。

 自律神経の状態も、計ります。

 耳にセンサーを取り付けます。

 これは心臓の拍動を読み取るものですが、アメリカ空軍の軍事用ソフトを使っています。



手持ちハート.jpeg





 これは退役した軍人の突然死を起こすケースが頻発した事から開発されたものです。

 交感神経が横線、副交感神経が縦線で、グラフとして自律神経の状態が示されます。


 こんな患者さんがいました。

 顎関節症の人で、紆余曲折があった方です。

 とある歯科で、元々は虫歯が痛くて行ったそうですが、噛み合わせが悪い、という指摘を受けてその治療を始めたのです。




女性上向き.jpeg



 これが上手く行かず、様々な大学病院を回られて発症から3年で山口先生の所に来たそうです。

 主訴は、ひどい肩凝り、激しい頭痛、噛み合わせの違和感、滑舌の悪さ、疲れやすい、疲労感が強い‥

 なぜ顎関節症の人が山口先生の所に来たかというと、最後に行かれた10ヶ所目の病院で、

 「あなたは冷え症があるからそれを治さないと治らない。」

 と言われたのだそうです。

 すごい説明ですよね。

 簡単に言うと、自律神経のグラフ的に、日常生活を送れない位のレベルに入っている人でした。



頭を抱える女.jpeg





 この自律神経の状態は本当に辛いはずです。

 自律神経が機能していない、つまりは寝ていても体は休まらず、起きても体は寝ている、そのような辛い状態な訳です。

 でも、行った先でそれを理解してあげられないから、この人変なこと言うな、とかそういう事になるのです。

 それで、納得いく答えを得るために、ドクターショッパーになってしまう。

 山口先生も、一ヶ所、大学病院の教授でもある先生に紹介をしようと思って連絡を入れたのだそうです。

 しかし、そのような経緯のある人は色々な意味で難しいから診れない、と断られてしまったそうです。

 そのような患者さんに、週2回で3ヶ月通ってもらった所、主訴は消えたそうです。



笑う女性.jpeg




 ただ、自律神経の状態はまだノーマルまでは行っていないので週一位通院して治療を続けてもらっていたそうです。

 でも、とても楽になったと言われたとの事でした。

 では、何をしたのでしょう。

 マッサージなどは嫌がるレベルなのでそういった事は一切しないで
 超短波をあてて寝ていただけなのです。


 話が逸れてしまいましたが、他に手に電極を当てて経絡の流れを読む機械や、光学顕微鏡で指先の末梢血管をみたり、体水分計や脳波計などを活用してデータを取っていたのです。





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Written by Keiko Kimura


全身の循環について2

私たちの体にはホメオスタシスを維持するために様々な機構が備わっていますが

その中で循環を調節している反射機構と冷えの関係についてお話したいと思います


・圧受容器反射

体位を変えたり、運動をしたりすることで全身の血圧が変化するすると

圧受容器反射が秒単位の時間の経過で起こり、血圧を安定させています

この調節は短期の調節に重要な役割をしています

血圧が基準値より高まると、頚動脈洞(内頚動脈基部)や大動脈弓の血管壁にある

圧受容器が興奮し、その情報はそれぞれ舌咽神経、迷走神経を伝わって

延髄の循環中枢に伝えられます


aortic arch.jpg

その結果、心臓と血管支配の交感神経の活動が低下し

心臓支配の迷走神経の活動が亢進し、次のような循環反応が起こります

①心臓の反応

心拍数の低下、心拍出量の減少、心筋収縮力の低下


②血管の反応

抹消の抵抗血管の拡張、容量血管(静脈)の拡張


③副腎髄質機能

副腎髄質細胞からのカテコールアミンの放出の減少

このような反応の結果、血圧は下降してある基準値で安定します

反対に血圧が基準値以下に下降すると、血管壁にある厚需要期の活動が低下し

逆の反応が起こります

adrenal gland.jpg
adrenal gland 324.jpg
・化学受容器反射

動脈血中の酸素分圧や水素イオン濃度が上昇すると

頚動脈洞(内頚動脈基部)にある頚動脈小体の末梢性化学受容器が興奮して

その情報は舌咽神経や迷走神経を伝わって呼吸と循環の中枢である延髄に伝えられ

調節されます

化学受容器からの情報は、呼吸中枢に作用して呼吸機能を高める一方

循環中枢にも伝えられ、交感神経活動を高めます

その結果、心拍数増加、心拍出量増加、血圧上昇が起こり、酸素の供給を高めます


apex of lung2.jpg

・心肺部圧受容器反射

心房と静脈の合流部や肺血管には、低圧で作動する伸展受容器があります

この受容器は肺血管や心房の内圧の低下を感知して

血液量のごくわずかな変化を検出することで、循環血液量の調節を行っています

例えば、出血などで血液量が減少すると心肺部圧受容器を介して

脳に情報が伝えられ、主に下垂体後葉からのバゾプレッシン(抗利尿ホルモン)分泌が増加して

腎臓からの尿量が減り、血液量を増やそうとします

逆に血液量が増えると、心肺部圧受容器の活動が低下し

腎臓からの尿量が増えて血液量を減らそうとします

心肺部圧受容器反射は血液量や細胞外液量を長期的に調節する重要な反射です


・体性感覚刺激による循環反射

皮膚、骨格筋、関節の感覚受容器のような体性感覚受容器への刺激は

循環機能を反射的に調節し、カイロプラクティックやマッサージ、運動などは

この反射を利用して全身の循環を改善させています


musculo2.jpg


・脊髄後根神経による血管拡張

皮膚のある部分への有痛性刺激はC線維(無髄の求心性神経で鈍い痛みを伝える)を興奮させて

その情報を後根を介して中枢へ伝える一方、後根に入る手前で枝分かれしている求心性線維を

逆行性に興奮させ、その神経終末からCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などを放出して

刺激が加えられた近くの皮膚血管を拡張させ、血管の内皮細胞間隙を広げて

炎症における白血球の遊走を促進させます


immune98765.jpg

これらの反射の中で圧受容器反射と化学受容器反射は自律神経が関与しています

冷えは自律神経を乱す最大の要因であり

体中に熱を運ぶのは血液ですから、冷えやストレスなどで交感神経の過緊張していれば

毛細血管への血流が大幅に減少し

内臓や手先、足先は冷え切るとともに、血圧も高まる傾向になります

内臓に血液が行かなくなれば、便秘や生理不順、免疫力の低下

代謝の低下
といった現象が起こり、交感神経の緊張によって、休息がうまくできず

不眠や肌荒れ、痛みの感受性が高まるといった症状も出てきます


beutiful skin.jpg意識に関係なく働いている神経のため、バランスが乱れていても症状が出るまで自覚がない点が

状態を悪化させてしまう要因の一つです

ホメオスタシス、自律神経のバランスを保つためにも、メリハリのある生活を心がけましょう


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冷え性にお悩みの方は美容にもお悩みではないでしょうか。皮膚をキレイにするにも痩せるにも結果の出づらい人は、だいたいの方が体温が低いのです。

エルクレストでは、フェイシャルや痩身で結果の出づらい人の共通点が冷えだったことから、冷えの研究とその改善に取り組んでまいりました。問題は、ワキの温度ではなく内臓温の低下にあるのです。

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