痛みと冷えの関係 -⑤- 自立神経のコントロール
代々木公園店美顔店元店長の木村です。
今回も、H17.8.28に四つ木治療院で行われました勉強会の内容です。
鍼灸院や整骨院などの先生方が対象の内容ですが、なるべくわかり易くお伝えしていきます。
自律神経、これは私達の仕事では切っても切れないものですが、実際の所、良い状態に持って行く方法については知らない人が多いのです。
例えば、足をひねってケガをした場合、交感神経が過剰に反応します。
血圧が上がったり脈拍が速くなったりします。
交感神経が緊張して、まず脳に痛みを鮮明に伝える、ということをします。
痛覚神経の刺激だけではなくて、交感神経が緊張することで脳は痛みを強く感じるようになります。
ケガをして、しばらくすると痛みがどんどん増えていきます。
最初の痛みは痛覚神経の刺激ですが、この二次的な痛みは交感神経が非常に緊張して起きてきます。
その時、本当の痛みは痛覚神経だけだとすると、交感神経による痛みは何倍にも増してしまうのです。
この時に身体の中にスイッチをいれて、交感神経の緊張を下げると痛みは元のレベルに戻ります。
ではどうやって下げるか。
これは痛覚神経のAデルタ線維(圧迫、温度、痛覚を伝える神経の事です)に強力な刺激を与える事で、この盛り上がっている交感神経の緊張をガクンと下げる事が出来ます。
その方法は、指先に刺激を与えます。
例えば、足関節の捻挫をして痛くて歩けない状態だとします。
その場所にもよりますが、足の小指の第一関節のど真ん中を思い切り押すと歩けるようになります。
ボールぺン等でぎゅっと押すのが効果的です。
それで効果が無いようなら、その押した点と爪の真ん中を同時にぎゅっと押すと効果があります。
ヒザの痛みなども、また他のポイントを刺激することで和らげる事が可能です。
これは実際、Jリーガー選手などにもやっている手法です。
交感神経の緊張を下げる、ということがポイントになります。
興奮している交感神経をAデルタ線維を使って落ち着かせると、最初の痛みだけになるので歩けるのです。
このように、痛みは自律神経をコントロールすることで変化します。
自律神経の働きというのは、痛みと非常に密接に関係があるということなのです。
これは、それだけ身体の状態が悪いということを脳に伝えるために交感神経が緊張して、痛みを鋭く伝えるようにしているのです。
一つの防御反応とも言えると思います。
山口先生のもとに来るような、痛覚神経が刺激されている痛みのレベルの患者さんは、痛みとしては、二次的に起きる痛みの方がより鮮烈に伝わって来るのではないか。
だから痛みをコントロールしてあげることで、その場所が治るわけではないが、例えば捻挫していても歩けたり、ヒザの痛みが和らいで楽になる、そういう事が起きるのではないか。
山口先生はそのように考えているそうです。
痛みを訴える人は普通に自律神経のトラブル、緊張があります。
それをコントロールして痛みを取る事が大事なのです。
ただ、それは深部体温が下がっていると自律神経は余計に乱れやすくなるし、治りも悪いし慢性化しますよ、ということなのです。
ケガの初期は、交感神経がガンと上がるのでガンと落とせば良いのです。
これは急性期のケガの処置になりますので間違わないようにして下さい。
慢性化すると、こういう強い刺激を与えると反応が強く出てしまう事があるので、深部体温を上げて優しく交感神経の働きをコントロールすると良いのです。
慢性化してしまった時にこういう事でコントロールしてあげると傷みが取れやすいという「冷え」の概念です。
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Written by Keiko Kimura