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2014.4.11.米澤須美先生 「栄養学」Ⅱ

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2014.4.11.米澤須美先生 「栄養学」Ⅱ

2014.4.11.(金) 14:00~16:00


米澤須美先生 第7回レベルアップ研修


(管理栄養士 「談らん日本」ネットワーク主宰)


@エルクレストアカデミー セミナールーム


テーマ:「基礎から学ぶ、栄養学について



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エステに通われている方が、はじめは自分でお金を払って施術を受けるのがメインになっていても、エステティシャンの方が食事の重要性をきちんと伝えることができれば、リバウンドの少ない食生活を送ることができ、良い体型を維持しやすくなります。

そしてお客様自身が美容について受動的な考え方から能動的な考え方にシフトしていくことで美容と健康が結びついた理想的な状態をつくることができます。

 

1. 代謝について

 

人が生命維持、身体活動を行うために必要な栄養素を食べ物として取り込む必要があります。この栄養素を生体内でより単純な物質に分解する反応を異化といい、これにより生物はエネルギーを獲得します。

また、この栄養素に特定の化学変化を加え、必要な物質を作り出すことを同化と言います。

私たちの体は、新陳代謝によって爪や髪の毛が伸びたりするように常に新しいものがつくたれ、古いものは排出されていきます。

 

・代謝:物質面から見た場合を物質代謝、エネルギー変化から見た場合をエネルギー代謝と言います。物質代謝には、上記の異化と同化の2つの過程があります。エネルギー代謝には、基礎代謝、活動代謝、食事誘導性熱代謝の3種類があります。

 

・基礎代謝:安静時(8時間睡眠後、14~18時間絶食した状態における、安静覚醒時の完全休息時)かつ温熱中性状態(体が温度に対して一切のストレスが無い状態)で計測される代謝で、呼吸、循環、体温、蠕動運動、筋緊張などに必要な最小限のエネルギー量を示します。

 

基礎代謝は、生後、身長や体重が増えるにしたがって値は上がっていきますが、体重1㎏あたりの基礎代謝は1~2歳をピークにして徐々に下がっていきます。

ですから、ある程度歳をとって運動をやめてしまったり、食事量はそのままだったりするとどんどん太っていってしまうのです。

かといってまた食べる量を極端に制限してエネルギーの摂取を控えてしまうのもまた危険です。例えば30~40代で53kgの女性であれば、約1150kcalの基礎代謝があるため、そこに活動量を加えて約1400kcalは摂取する必要があります。

エネルギーを制限することは簡単ですが、それに伴って必要な栄養素を摂れなくなってしまうからです。

最近は基礎代謝量を計測できる体重計が増えていますが、過剰な食事制限をしている方は900kcalという非常に低い値になっていることもあります。

ダイエットをして実際に体重が減って成功しているようでも、もし基礎代謝が1000kcal

切っているようであれば、ベースとして消費するエネルギー量が減っているため、少し食べただけでまたすぐ太ってしまう状態なのです。

基礎代謝を高く保つには、運動とある程度の食事量と休息が必要です。

糖質ダイエットを徹底している人は、どうしてもエネルギーに必要な糖質が不足してタンパク質や脂質からエネルギーを作り出すため、筋肉量が落ち、基礎代謝が低下してしまうことがあります。

 


2014_4_7DSC03820.jpg


・基礎代謝に影響を与えるもの


A. 体表面積:体重ではなく、身長が高く痩せている人ほど、基礎代謝は高くなります。体の表面から熱が発散されているため、それに伴って体の中でつくられる熱の量が増え、基礎代謝が高まるのです。

 

B. 年齢:運動の有無などもありますが、基本的には年齢が若い人の方が基礎代謝は高くなります。

 

C. 性別:男性は女性に比べて、筋肉量が多く、体格も大きい傾向があるため、基礎代謝は高くなります。

 

D. 体格、筋肉質、脂肪質:筋肉量が多ければ、そこから多くの熱がつくられるため、基礎代謝は高くなります。

 

E. 体温:体温が1度上がると、基礎代謝は13%上がるとされており、平熱が35度の人と36度の人では、同じ生活をしていても大きく代謝量が異なります。

 

F. ホルモン:甲状腺ホルモンは、骨格筋、心臓、肝臓など多くの臓器の酸素消費を高めて、基礎代謝を亢進させます。甲状腺機能低下症の方では、基礎代謝が下がるため就寝時と起床時で体重の変化が無くなってきます。通常では寝た時と起きた時で500g前後体重が減少するのが普通です。

副腎皮質ホルモンも代謝に関わります。

女性ホルモンであるエストロゲンは、内臓脂肪を減らし、黄体ホルモン(プロゲステロン)は皮下脂肪に関わります。排卵から月経が来るまでの間は、妊娠可能な時期なので、皮下脂肪や水分を下半身に溜めていき、脂肪によって子宮を守り、出産のためのエネルギーを蓄えます。ですからこの時期の食事は特に注意が必要です。

次に排卵までの時期は、その逆の現象が起こるため、痩せやすくなります。

また、排卵が起こるときには、ホルモンバランスがガラリと変わるため、月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome。月経前緊張症とも)の症状が出ることがあります。症状は落ち込み、イライラ、不安感、腹部膨満感、便秘、頭痛、乳房の痛み、むくみ、食欲不振(あるいは過食)などがあります。

 

 

 

G. 月経:排卵から高温期が続いて、月経時に下がります。

 

むくみによい食事として、カリウムを多く含む瓜系のもの(キュウリ、スイカなど)があります。排卵から月経までの期間は特に減塩するのが有効です。(女性は7.5g以下が推奨されています)

 

2. 消化について

 

・消化とは、食べ物を分解して、吸収しやすい形にすること

 

物理的消化:消化管の運動

化学的消化:消化液の作用

生物学的消化:腸内細菌の作用

 

・能動輸送、受動輸送

能動輸送は、エネルギーを使って物質を移動させる方法。

受動輸送は、エネルギーを使わずに物質を移動する方法。

 

・消化管とは、口から肛門まで続く1本の管のこと

口腔、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門

 

・消化器とは、消化管に付属している器官のこと

唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓

 

消化液は18リットル分泌される。その中には多くの消化酵素が含まれます。

 

消化液の分泌量と主な消化酵素

消化液

分泌量(ml/1日)

主な消化酵素

唾液

1200ml

アミラーゼ

胃液

2000ml

ペプシン

膵液

1200ml

アミラーゼ、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、ペプチダーゼ、リボヌクレアーゼ

胆汁

700ml

 

腸液

3000ml

 

 

人間の組成の中で糖質が占める割合は0.5%しかなく、タンパク質は約18%あります。

これはタンパク質が体の構成成分であるのに対して、糖質はエネルギーとして活動するために必要な栄養素であることが分かります。

 

・好き嫌いと偏食の違い

好き嫌いは、単純に豚肉は好きだけど、鶏肉は嫌いといったような特定の食材が好きではないというもので、偏食は、肉は嫌いだけど、魚は好きといったような一定のくくりの中でそのまとまりが好きではないといったような偏りがある場合を言い、必要な栄養素が摂れなくなる可能性があります。

 


3. 栄養素の種類と働き

 

栄養素は大きく分けて5つあります

 

a.  タンパク質:筋肉や骨、臓器などの体を構成する主成分

b.  脂質:エネルギー源+細胞膜の構成成分

c.  炭水化物:体の主なエネルギー源

d.  ミネラル:生命活動に欠かせない無機物

e.  ビタミン:生命活動に欠かせない有機物

 

 

4. 主な栄養素の食事摂取基準

 

推定エネルギー必要量(kcal/日)

 

男性

女性

 

身体活動レベル

身体活動レベル

年齢

Ⅰ    Ⅱ    Ⅲ

Ⅰ    Ⅱ   Ⅲ

1829

2500  2650  3000

1700  1950  2250

3049

2300  2650  3050

1750  2000  2300

5069

2100  2450  2800

1650  1950  2200

*身体活動レベル Ⅰ:ほとんど動かない状態

         Ⅱ:通常の家事などを行っている状態

         Ⅲ:運動を積極的に行っていたり、体を使う仕事をしている状態

 

タンパク質推奨量(g/日)

年齢(歳)

男性

女性

18~29

60

50

30~49

60

50

50~69

60

50

 

脂質:脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率:%エネルギー)

年齢(歳)

男性

女性

18~29

20以上30未満

20以上30未満

30~49

20以上25未満

20以上25未満

50~69

20以上25未満

20以上25未満

 

n6系脂肪酸、n-3系脂肪酸

 

年齢(歳)

n-6系脂肪酸

n-6系脂肪酸

n-3系脂肪酸

n-3系脂肪酸

 

男性

女性

男性

女性

 

目安量(g/日)目標量(%エネルギー)

目安量(g/日)

目標量(%エネルギー)

目標量

目標量

18~29

11  10未満

9  10未満

2.1以上

1.8以上

30~49

10  10未満

9  10未満

2.2以上

1.8以上

50~69

10  10未満

8  10未満

2.4以上

2.1以上

n-3系脂肪酸の目標量では、EPAおよびDHA1g/日以上摂取することが望ましいです。

 

・コレステロール(mg/)

18~69歳男性:1750㎎未満 18~69歳女性:1600㎎未満

 

炭水化物(%エネルギー)

18~69歳男性:50以上70未満 18~69歳女性:50以上70未満

 

食事でダイエットをする場合、それぞれの細胞が生まれ変わるまでの期間を考えると3か月以上の時間が必要です。ですから早い段階で変化が出なくてもあきらめずに地道に行っていく必要があります。

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