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2013.9.29. パワープレート・ユーザーズミーティング

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2013.9.29. パワープレート・ユーザーズミーティング


2013.9.29.(日)13:00~17:00


「パワープレートユーザーズミーティング」 


@パワープレート本社 ㈱プロティア・ジャパン



講師:牧野講平氏 

 

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牧野さんは2004年より、森永製菓株式会社によるトレーニング施設であるウィダートレーニングラボ所属し、2008年より浅田真央選手のストレングスコンディショニングを担当し、2012年のバンクーバーオリンピックにも帯同し、同選手の銀メダル獲得に貢献されました。

現在でも数多くの有名選手を指導するトレーナーとして活躍されています。

 

〈ウィダー部門ができるまで〉

 

森永製菓は、40年ほど前に人々の健康をサポートするためにウィダー事業部が設立され、その後、スピードスケートの橋本聖子さんから試合前に素早く手軽にエネルギー補給ができる商品をつくってほしいという要望があったことをきっかけにウィダーインゼリーが開発されました。

現在では会社の売り上げの6割をウィダーインゼリーが占めているという状態になっています。

 

ウィダーという名前は、アメリカのジョーウィダーというトレーナーが創設した会社の名前で、森永製菓がその権利を買ったことに起因します。

ジョーウィダーは、アーノルドシュワルツェネッガーのパーソナルトレーナーで、当初はボディビル中心の営業展開だったものの、当時はあまりボディビルが民間では広がっていなかったことから徐々にスポーツ部門へと進出するようになりました。

スポーツ事業としてサプリメントを売り始めてから20年ほど経っていますが、トレーナーをおいて実際に選手をトレーニングしていくといったことは約10年前から行われるようになりました。

 

ウィダーのトレーニング施設は2013年の3月までは、一般の人も利用することができましたが、現在ではウィダーと契約したスポーツ選手のみが利用できる施設となっており、パワープレートも完備されています。

 

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〈トレーニングについて〉

 

ウィダーのトレーニング施設の目的は、選手の力が強くなった、動きやすくなったといったようなものではなく、試合にきちんと勝てるかといった総合的なものになっており、完全に科学的なバックグラウンドのあるトレーニングのみを処方しています。

 

・大枠の考え方

目的:選手が最高のパフォーマンスを発揮して勝つということ

 

1. Functional movement:動作

2. Sports-specific Conditioning:体力(筋力、スピード)

3. Regeneration:回復(選手はほぼ毎日、練習をしているため、回復が非常に重要)

4. Sports nutrition:栄養(管理栄養士による対応)

 

この4つの柱で選手をサポートしています。

選手がケガをした場合は、提携しているスポーツドクターに診断を仰ぎ、理学療法士と協力して復帰させていきます。

 

従来は、筋力をとにかく高めてパワーを上げれば勝てるといったような理論が主流であったために、牧野さん自身もその考え方に則ってトレーニングを処方していましたが、6年ほど前に浅田真央選手を担当するようになって、「筋肉を大きくしないで、勝てる体をつくってほしい」という要望を受けたことをきっかけに今までの考え方を白紙に戻すことを決意しました。

そして選手によって動作が異なることをうまく利用してパフォーマンスを高められるのではないかという仮説をもとに解剖学、生理学、バイオメカニクスを勉強し直し、より動作に着目したトレーニングを処方するようになりました。

フィギュアスケートは容姿が重要であるため、あまり体型を変えることは好ましくなく、またスキージャンプの世界でも体重が1キロ増えると飛距離が1メートル減るという事実もあることから体を大きくせずにパフォーマンスを上げることにこだわりを持っている選手が多いと言います。

またウィダーが受け持っている選手は、ジュニアの伸びしろが大きい選手ではなく、選手として成熟したトップアスリートが多いため、体づくりはある程度終わっていて、筋力やパワーよりも動作に磨きをかけたいという要望が非常に多いそうです。

 

・体の捉え方

 

実際の業務では、選手を見る際に、素早い動きの中でその動きが成功か失敗かを判断しなければならず、スピードに慣れることとそれぞれの種目における動作を高度に理解している必要があります。

しかし指導をする際にトレーナーの感覚が入ってしまうとトレーナー間で指摘する内容が異なるといった問題が発生してしまうため、ウィダー部門では動作をある程度分解して、客観性のある指導ができるようにしています。

わかりやすいものとして、運動は関節系、筋系、神経系の連動によって成り立っており、

動きの元は脳からの命令であり、それによって筋肉が動かされ、関節が動くといった流れがあります。さらに関節の位置は運動によって刻一刻と変化し、その情報がまた脳へと伝わって次の動作へとつながっていくのです。

 

その中で特に関節に注目した考え方として最近注目されているのがファンクショナルトレーニングと呼ばれるもので、動作における関節の役割に着目しています。

 

Mobility (柔軟性):関節における動作の自由度

Stability(安定性):変化の中で関節位置を維持する能力

 

Mobility joint:運動において積極的に動かされるべき関節

例:足関節、股関節、胸椎、肩甲上腕関節、手関節

 

Stability joint 運動において、動きを効率的に安定して行うために固定されるべき関節

例:足部、膝関節、仙腸関節、腰椎、肩甲胸郭関節、肘関節

 

この役割分担によって、動きに伴う代償運動を見分けることができるといったメリットがあります。

 

モビリティとは何なのかという議論は、現在でもトレーナー間でよく行われており、単に柔軟性と定義してしまうと、様々な矛盾が出てきます。

そのためウィダーでは、関節おける動作の自由度と定義して、柔軟性がある中で安定して動かせる状態をモビリティの高い関節としています。

スタビリティは安定性を表す言葉ですが、一般的に関節を安定させることイコール関節を固定することと解釈されていることが多く、単に関節を固めようとすると、人体は前側の筋肉が良く反応するようにできているため、猫背のような姿勢になりがちで、これでは体の機能を十分に発揮することができません。

従って、固めるのではなく、動きの中でその関節が一番良いポジションにある状態をスタビリティが高いとしています。

例えば、手を上げるという動作でモビリティとスタビリティを考えると、肩甲胸郭関節、

腰椎がスタビリティ関節、肩甲上腕関節と胸椎がモビリティ関節ですが、この時にモビリティの機能が低下していて、十分に肩を上げることができない場合に代償運動として腰椎の伸展動作を加えて補填しようとするなどの動きが生じることがあります。

このような代償運動は、様々なスポーツの場面でもみられるもので、本来の役割とは異なる動きを繰り返し強いられることによって、傷害やパフォーマンスの低下につながるのです。



・トレーニングプログラムについて

 

人体は、筋肉の走行、骨、関節の形状などによって非常に複雑な動きをしているため、運動面を一面で捉えることはできません。

そこで三面の3D の運動面で動作を捉えていく必要があります。

動作を見るうえで、それが良いものなのか悪いものなのかを判断しなければなりませんが、そこで重要なのがバイオメカニクスで、地球上で運動をする時に、常にかかっている重力に対してどのように体を動かしていくかを考えていきます。

プログラム作成

 

1.可動域に制限がある人は、まず可動域を正常にしていく

2.部分的に代償動作がある場合は、スタビリティ、モビリティの機能が

3.少しずつ全身動作を加えていく

4.脊椎周りの安定性を高めるためにインナーマッスルを強化していく

5.大きな動作をトレーニングしていく

6.大きな動作に持久力、スピード、パワーをつけていく

7.より機能的な動作を入れてパフォーマンスを高める

 

可動域制限がある場合には、静的ストレッチ、動的ストレッチ、近年アメリカで流行っているアクティブリリーステクニック(圧迫をかけながらストレッチを行って、血流を高める)、マッサージボール、トリガーポイントアプローチなど様々な方法がありますが、その中でパワープレートは特に柔軟性の回復に有効だと考えています。

例えばアスリートは、スクワットなどのトレーニングで筋肉にハリ感が出た状態が続くのを嫌がるため、セット間にパワープレートを使ったストレッチを行ってリフレッシュさせるといった使い方をしています。

 

モビリティ自体に制限がある場合、動かしたいように体を動かせなくなるため、その改善が第一目標となります。

もしモビリティの制限が十分に改善できないアスリートがいた場合は、90分のプログラムのうち60分をモビリティの改善に使うこともあります。

 

モビリティの機能を改善できた後は、呼吸の状態をチェックして、改善させていきます。

 

呼吸に使われる筋肉が、姿勢を維持するために働いているために、呼吸筋のバランスが崩れていると、姿勢も崩れてきてしまうのです。

 

呼吸の際、胴体を上部と下部に分けてチェックをします。

呼吸をすると下部は、前後左右に動き、上部は前後にしか動きませんので、その動きを見て息を吸ったときに前後の動きよりも上下の動きが大きい場合は、慢性的な頚部のハリ感があったり、モビリティ関節である胸椎の動きが悪くなっていることが考えられます。また仰向けになって呼吸を見たときに腹部が前後左右に動かずに前後だけの動きになっている人も多く見受けられます。

この場合は腹横筋の機能が低下していることが考えられるため、その筋へのアプローチが必要になります。

オーストラリアの理学療法士が提唱している呼吸障害として次のようなものがあります。

 

1.一次呼吸障害

吸気時に胸郭全体の持ち上がりがある

胸部運動が腹式呼吸よりも優勢

下位肋骨の側方変位なし

腹部運動が奇異:腹部が吸気時に凹み、呼気時に出ている

腹部引き締めを維持しながら正常に呼吸することができない

 

2.二次呼吸障害

呼吸が浅く、腹部や胸部にほとんど動きがない、または全くない

腹部または胸部に非対称性運動がある

下腹部から胸部中部を経て胸部上部へという順序が崩れている

リズムが突発的であったり、過剰な努力がみられる

吸気および呼気が急速だったり、持続時間が不均一

顔や唇、顎、舌に過剰な緊張がみられる

溜息やあくびが頻繁に出る

 

その他の例として、仰向けに寝たときに胸腰移行部の脊椎が挙上してしまう人の場合、多裂筋や脊柱起立筋の緊張によってモビリティが低下していると、呼吸で非常に重要な役割をしている横隔膜の機能が低下し、姿勢の安定性、動きの安定性、全てが低下してしまいます。

そのためにまずモビリティを正常化してから、呼吸機能を改善していく必要があるのです。

 

次の段階として、発達運動学に基づいたトレーニングを行います。

これは、細かな動作の安定性に関わるインナーマッスルの強化に最適で、特に矢状面上での動きを重視しています。

脊柱は、矢状面上で動きが崩れてしまうと運動機能が大きく崩れてしまいます。

モビリティにおいても矢状面で機能低下がみられると、前額面、水平面での動きの代償がみられます。

この矢状面の安定性を高めるために、ハーフストレッチポールの上に仰向けになり、手足を持ち上げるといったトレーニングがあります。

呼吸筋やインナーマッスルがしっかりと機能していると、不安定なストレッチポールの上でもバランスがとれるようになります。

さらにその中で肩関節や股関節といったモビリティ関節を動かすようなトレーニングを行うことによって、より機能的な体をつくることができます。

しかしこれを競技性のあるトレーニングにしていくには、たくさんのステップが必要で漸進性を持たせる必要があります。

 

・漸進性に必要な要素

 

1. 支持基底面の大きさ:足の間隔を狭くして自分を支持している面を小さくする

2. 抗重力に関与する関節数:寝た状態→膝つき→立位

3. 負荷:より重い負荷にしていく

4. スピード:より速いスピードで行う

5. 運動に関与する関節数

6. 抵抗する方向数

7. 支持面の不安定性:バランスディスク、BOSUなど

 

動作には、全ての人が行うべき基本的な動作であるファンダメンタルムーブメントとそれぞれのスポーツの動作に特異的な動作を行うものの2種類があります。

 

これらのトレーニングを行う際にパワープレートを使うことで、より早く動作改善ができると実感しています。



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