第29回 森柾秀美先生レベルアップ研修会
2013.6.14.(金) 10:00~17:00
■ホメオスタシス
〈自律神経系〉
ヒトや生物が外部環境の変化に対して安定していることをホメオスタシスと言います。
自然治癒力や回復力、抵抗力や免疫力など、日々の活動での疲労消耗した心身を元の健康な状態に戻そうという生命力そのものと言えます。
若々しい人、元気な人、イキイキした人とは、この能力が高い人です。
この恒常性は、自律神経系とホルモン系(内分泌性)の働きによって保たれます。
自律神経系:大脳の視床下部から全身に分布される神経で、意識に関係なく働いている不随意神経です。交感神経(活性、興奮)と副交感神経(休息、鎮静)から成っており、外部環境に合わせて体をコントロールしています。
神経には、中枢から末梢に命令を伝える遠心性神経と末梢の情報を中枢に伝える求心性神経があり、自律神経の遠心性神経には、交感神経と副交感神経、求心性神経には内臓知覚神経があります。
老化は化学的に言うと、酸化であり、酸化すると物質は黒くなります。お茶や果物など肌もそれに含まれています。交感神経はエネルギーを発散する神経のため、緊張状態が続くと乳酸が溜まり、酸化が進んでいます。副交感神経は逆にエネルギーを蓄え、還元作用のあるカルシウムの血中濃度をホルモンを介して調整することで体を弱酸性に保ちます。
したがって、活動のスイッチと休息のスイッチをきちんと分ける生活を心がけることが有効です。
内臓知覚神経の受容器は、血管壁と内臓内にあり、動脈の圧力や胃腸、膀胱の充満度などの物理的情報や内容物の酸性度や電解質の濃度などの化学的情報を伝えます。
このような内臓からの求心性情報の大部分は感覚として意識に上りませんが、種々の器官に反射正反応を引き起こして自律機能を調節しています。
健康な人は、内臓知覚神経が活発に働いていると言われています。
脳は、快感で活性化される臓器で、楽しいことをやっている時は神経伝達物質であるドーパミンが放出され、さらに良い状態の時には内因性オピオイドと呼ばれるβエンドルフィンが放出され、活性化されます。
身近なもの内臓知覚神経の働きを高めるには、食事の時に体が今、何を欲しているのかを考えながら摂ることが有効です。
ヨーロッパの食文化では、楽しむということをとても重要視しているため、前菜やメイン、デザートなどをその時の自分の体が一番喜ぶものを選び、仲間と話をしながら無意識に内臓知覚神経を活発に働かせているのです。
そのため、一度にメニューが全て出てくる日本食と異なり、必ず一つの料理を食べ終わってから次が運ばれてくるという流れになっており、その料理により集中して食べることを重視しているのです。
普段、お弁当を食べるときなどは、食べたい料理を選ぶことができませんが、その時にもどの順番で今の自分が食べたいのかを考えながら食べることで、内臓知覚神経を働かせることができます。
また、よく噛んで食べることで口に入れた時の味と噛んで唾液と混じった時に味が変化していくのを感じることができ、より多くの味覚情報が脳に伝わり、食事の満足感が高まります。
これによって過食を防ぎ、余分なカロリー摂取を避けることができるのです。
汗や唾液などの分泌物は、交感神経が優位の時は濃度の濃いもの、副交感神経が優位な時はサラサラしたものが出ます。
唾液年齢というものもあり、唾液量が多いと年齢が若いという指標になります。
ホルモン系:色々な情報を伝達する生理活性物質で、内分泌系と呼ばれています。
たんぱく質を含む物質が血中に分泌され、微量で多大な効果を持つものも多くあります。
自分で汗を出したり、血管を拡張させるということはできませんが、自律神経、ホルモンの前駆体は感情であるため、間接的にではありますが、コントロールすることができます。
従って、綺麗なるか、ならないか、元気でいられるかどうかは脳が管理しているということで、それが性格をつくっているのです。
そうしてつくられた性格、ものの見方や価値観が電気信号となって体を動かすため、人は見かけによるとも言えます。
美意識を高く持つことで、意識した部分のホルモン受容体の数が増えるため、ホルモンの観点からもアンチエイジングになります。
大脳の前頭葉にはミラー細胞というものがあり、周りにいる人を無意識に感じ取り、相手の気持ち、表情鏡のように自分自身で映し出すことで、コミュニケーションを図ろうとします。
・ホメオスタシスは健康のバロメーター
新しいことをやらない人生は衰退であり、常に挑戦していかなければ若々しさは保てないと言い換えることができます。そのためには老化=疲労ということを頭に入れて、体力をつけて体を鍛えておく必要があります。
これはヒトの性質として、常に刺激が無ければ脳を始めとした各器官の機能が落ちていくというものがあるためです。
ホメオスタシスが高ければ、どのような環境にも適応でき、疲労せずに成長していくことができます。
努力すれば体は変わりますし、逆に怠れば、どんどん老化していってしまうため、毎日続けられることを見つけていく必要があります。
元気で活き活きしている時に自律神経は、活動が活発でバランスが取れている状態で、自律神経全体のエネルギー量は年齢を通してほぼ一定ですが、子供の時には、調節能力が非常に高く、交感神経と副交感神経の切り替えが活発なため、疲れ知らずなのです。
年を重ねてくると、交感神経優位の生活が続くことで、切り替えがうまくいかなくなり、活動と休息のバランスが崩れて様々な症状が出てきます。
・自律神経失調症、ホルモンのアンバランス、不定愁訴の症状
① 胸や心臓が締め付けられるような気がする。
② 動機が打って、気になる時がある
③ 息苦しくなることがある、息切れすることがある
④ 夏でも手足の冷えることがある
⑤ いつも食欲がない、異常な食欲の時がある
⑥ 吐き気があったり、吐いたりする
⑦ 胃の具合が悪い、良く下痢や便秘とする
⑧よく頭痛がする、首や肩が凝る
⑨夕方になるとのぼせる、手足がだるい
⑩ 皮膚が敏感で負けやすい、蕁麻疹
⑪ 手足が震えたり、痺れたりすることがある
⑫ ちょっとした仕事でも疲れやすい
⑬ わけもなく憂鬱になる、乗り物に酔いやすい
・ホルモンと美容
生理学的に見て、女性の腰回りが最も美しく見えるのは、ウエストとヒップの比率が7:10になっている時だそうです。
これは、アメリカ人の研究者が57の民族に対して統計をとって判明したもので、圧倒的に7:10が選ばれていたそうです。
ホメオスタシスが高く、自律神経、ホルモン系が正常に働いていると、自然とこの比率に近づくと言われています。
そのため、ホメオスタシスに気を配ることは、色々な面で美容に関わっているのです。
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