自律神経と内分泌系 森柾先生レベルアップ研修
2013.3.15.(金) 11:00~16:00
森柾秀美先生レベルアップ研修[28回目]
@モリマサ エステティック プロフェッショナルスクール
・ホメオスタシス(人体の恒常性)
ヒトや生物が外部環境の変化に対して安定していることをホメオスタシスという。
自然治癒力や回復力、抵抗力や免疫力など、日々の活動での疲労消耗した心身を元の健康な状態に戻そうという生命力そのものと言える。
若々しい人、元気な人、活き活きした人とは、この能力が高い人である。
この恒常性は、自律神経系とホルモン系の働きによって保たれる。
生命力、オーラと表現されるものの基になっており、悪いものを排泄する、体を修復する、免疫力を総合したもので、これは生まれながらではなく、本人の心掛けによってホメオスタシスを高めることができる。
疲労物質(乳酸)は筋肉に蓄積し、体は酸性に傾く。これを代謝するには体温を高めて、体内で解毒の役割をする腎臓、肝臓の機能を高め、排泄する必要がある。
したがって体温が低いと、老廃物が滞り、体が酸性になることによって老化が進んでしまう。
森柾先生は以前、施術による結果の個人差を調べるために、200人に対して施術前後の脳波を取り、調べたとところ、美容結果が出る人ではα波が顕著に出ていたことが分かり、さらにこれはホメオスタシスを司る視床下部が重要であるということを突き止めた。
若々しい人、元気な人、活き活きした人とは、この能力が高い人である。
この恒常性は、自律神経系とホルモン系の働きによって保たれる。
α波(8~13Hz):リラクゼーション、安静、集中、絶好調
β波(13~28Hz):覚醒、活動、緊張
θ波(4~8Hz):睡眠、ぼんやり
δ波(0.4~4Hz):深い睡眠、失神
・自律神経
神経系は脳、脊髄から成る中枢神経と、それ以外の末梢神経に分かれ、末梢神経は自分の意志でコントロールできる体性神経とコントロールできない自律神経に分かれる。
自律神経はさらに、求心性の内臓知覚神経と遠心性の交感神経、副交感神経に分かれる。
自律神経系:大脳の視床下部から全身に分布される神経で、3つからなる神経がバランスよく働いていることと全体の活動量が高いことが理想とされる。
これが乱れた状態を自律神経失調症という。
・自律神経失調症の症状
① 胸や心臓が締め付けられるような気がする。
② 動機が打って、気になる時がある
③ 息苦しくなることがある、息切れすることがある
④ 夏でも手足の冷えることがある
⑤ いつも食欲がない、異常な食欲の時がある
⑥ 吐き気があったり、吐いたりする
⑦ 胃の具合が悪い、良く下痢や便秘とする
⑧ よく頭痛がする、首や肩が凝る
⑨ 夕方になるとのぼせる、手足がだるい
⑩ 皮膚が敏感で負けやすい、蕁麻疹
⑪ 手足が震えたり、痺れたりすることがある
⑫ ちょっとした仕事でも疲れやすい
⑬ わけもなく憂鬱になる、乗り物に酔いやすい
・交感神経と副交感神経の働き
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交感神経 活性、興奮、ストレス |
副交感神経 休息、快、笑い、感動 |
エネルギー エネルギー代謝
食欲 性欲(美、健全を求める欲求を含む) 血管 汗 立毛筋 心臓 胃腸 血液pH 一日の分泌変化 |
発散 酸化(酸化酵素の活性化による)、分解作用 抑制 抑制
収縮 少量で濃い 収縮 鼓動が早くなる 抑制 酸性化 昼間活発 |
蓄積 還元作用
活発 活発
拡張し、栄養運搬 多量で薄い 弛緩 鼓動遅い 活発 アルカリ化 夜間活発 |
ストレスを感じていても、肌がきれい、睡眠をきちんととれる、食事もおいしく食べることができているという人は、ホルモンバランスが良いと言える。
挑戦する、無理な負担をかけないといった意識を持つことで、ストレスに対する体の反応が改善されていく。
・ホルモン
いろいろな情報を伝達する生理活性物質、内分泌系。
内分泌学は比較的新しい学問で、1902年にイギリスの生理学者によってホルモンという専門用語がつかわれだした。
ギリシャ語で、「ホルマオ=刺激する、興奮させる、動かす」という言葉が語源となっている。体の生理活動を正常に保つため、その働きをコンロトール(活性、抑制)する。
神経系と内分泌系は、協調して働くことにより、日常のホメオスタシスの維持を行っている。
たんぱく質を含む物質が血中に分泌され、微量で多大な効果を持つものも多い。
ホルモンの届きやすさは、血液循環の良し悪しで、個体差がある。
心臓から送り出された血液が再び戻ってくるまでにかかる時間は、血流が良い人も悪い人も約1分かかるが、血流が良い人では毛細血管の隅々まで巡って1分。悪い人では、毛細血管にあまり血液が行かずに大動脈、細動脈を通って1分という違いがある。
血液検査の項目にAI値(動脈硬化指数)というものがあり、正常値は2.6以下、20代では1.0以下である。この値は動脈硬化だけでなく、ホメオスタシスやホルモンの働きも反映していると言える。
ホルモンは、色々情報を伝達する生理活性物質で、主としてたんぱく質で構成される。
血液中に分泌されることから内分泌と呼ばれる。ホルモンが作用を及ぼす特定の器官を標的器官という。
その細胞あるホルモンの受容体(鍵穴)をレセプター(2000~100000個/細胞)といい、ホルモンは、レセプターに情報を伝達した後、たんぱく質として代謝される。
レセプターの数は、血液循環の良いところでは増え、血流が悪くホルモンが届かないところでは減少する傾向にある。また意識している部分も血液に集まりやすくなるため、レセプターが増える。
ホルモンはここで栄養素のように分解してエネルギー源になるのではなく、その細胞の代謝活動のきっかけをつくる、調節したりする。
特定の器官から分泌され血液に運ばれ遠隔の器官に作用するものを狭義のホルモンと捉えるが、最近では、ある種の細胞や組織から分泌され比較的近傍で働く生理活性物質(サイトカイン、プロスタグランジンなど)をも広義のホルモンと捉えている。
ホルモンは単独では働かず、脳下垂体で制御されている。しかし、下垂体はその上の視床下部の制御も受けているため、ホルモンは自律神経の影響や感情、情動が大きく関わる。
ホルモンの中には、微量で多大な効果を持つものも多く一生のうち耳かき1杯分しか分泌されないものもある。
・ホルモン全体の働き
① 平滑筋や心筋の活動を調節
② 分泌腺の調節
③ 代謝の変化
④ 成長や発育を促す
⑤ 生殖過程に影響を及ぼす
⑥ サーカディアンリズムの調整
・ホルモンの種類
① ペプチドホルモン(たんぱく質主体のホルモンで、期待する感情で分泌が影響を受けるホルモン)
現在、発見されているホルモンの70%はペプチドホルモンである。
細胞膜にレセプターがあり、その信号が細胞内に伝達され、酵素活性が起きることにより、生理的反応を引き起こす。
② アミン型ホルモン(構造にアンモニア化合物の総称であるアミンを含むホルモン)
細胞膜にレセプターがあり、その信号が細胞内に伝達され酵素活性によって、生理的反応を引き起こす。ビタミンも全てアミンである(Vita-amin)。
③ ステロイドホルモン(コレステロールを材料にするホルモン)
レセプターが細胞内にあるため、直接細胞に侵入し、核の中の遺伝子に影響を与え、新たなたんぱく質や酵素の合成を促す。
細胞膜はたんぱく質と脂質の二重膜でできており、ステロイドホルモンも似た構造であるため、細胞内に入っていける。
エストロゲン(女性ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)、コルチゾール(副腎皮質束状層ホルモン)、アルドステロン(副腎皮質球状層ホルモン)などがある。
ドーピングで使われるステロイドホルモンは、男性ホルモンで筋肉を増強させることを目的としている。
また抗炎症作用を持つものもあるため、傷口に塗布する軟膏の成分としても使われる。
・内分泌器官
代表的な内分泌器官として、脳下垂体、甲状腺、副腎、膵臓、卵巣、精巣がある。
ホルモンはこれらの器官で生産され、血液によって全身に運搬される。
レセプターを持つ標的器官に働きかけることで代謝を促進または抑制する。
肝臓はいくつかのホルモンを不活化し、腎臓はそれらを尿中に排泄する役割を持つが、冷えに弱い臓器であるため、冷え性ではホルモンの作用の調節がうまくいかず、様々な症状が出ることがある。
・エステティックに関連の深いホルモン
① 成長ホルモン:入眠1時間後に下垂体前葉より分泌し、眠りが深いほどたくさん分泌される。*深い睡眠(δ波)のためには、入眠前の30分のα波が必要である。
あらゆる細胞にレセプターがあり、代謝の促進、たんぱく質の合成を高める。
日々分泌量が異なり、日中の刺激量(肉体的、精神的)によって夜の分泌量が変化する。
この分泌量の影響を受けて、睡眠中に代謝活動(エネルギー代謝、形態代謝、機能代謝、新陳代謝)が行われる。
すなわち、分泌量が高くても十分な睡眠時間が少ないと、作用が低下する。
覚醒すると、代謝は抑制される。
また睡眠前のイメージデータに基づいて、その部位の対して働きかけるが、加齢とともに分泌量が低下する。
分泌量が減少すると、体脂肪の増加、筋肉量や骨量の減少、基礎代謝低下、皮膚の乾燥、免疫系の衰退が起こる。
② 甲状腺ホルモン:新陳代謝を司るホルモンで基礎代謝率を上昇し、酸素消費量を上げる。
全身にレセプターがあり、神経系の成長を促進する。
1. 代謝促進:たんぱく質、炭水化物、脂質
2. 生体の発育、成長の促進
3. 体温の上昇
4. 血液中のカルシウム量を調節する(精神安定)
カルシトニン(甲状腺傍濾胞細胞より分泌):血中カルシウム濃度を低下
パラソルモン(上皮小体より分泌):血中カルシウム濃度を上昇
視床下部からのTSH放出ホルモン(TRH)によって、下垂体から甲状腺刺激ホルモ
ンが分泌され、血中経由で甲状腺に運ばれることで、甲状腺ホルモンが分泌される。
エネルギー代謝が増す状況(寒冷環境、低血糖、高地、妊娠)なども甲状腺ホルモ
ン分泌に影響を与える。
③ 性ホルモン:コレステロールが材料のステロイドホルモンで、生命力と美意識で活性。
・男性ホルモン
1. たんぱく質合成の促進(筋肉の形成)
2. 皮脂の分泌促進
3. キメが粗くなる
4. 体温、血圧の上昇
5. 精子の生成
・卵胞ホルモン
1. 皮下脂肪の発育促進
2. 皮脂の分泌抑制
3. キメ細やかな肌にする(うなはたけ)
4. 思春期に女性生殖器の発育
・黄体ホルモン
1. 内膜を膨潤し、妊娠可能にする
2. 組織内に水分を滞留させる
3. 皮脂分泌の促進と角質肥厚(男性ホルモンに類似)
④ 副腎皮質ホルモン:ストレスに対して体を守るため、抵抗するホルモン
1. たんぱく質、脂肪を糖質に変える(糖新生:グルコース、アミノ酸、乳酸からグルコースを生成する)
2. 抗炎症作用
3. 体液の濃度を一定に保つ
4. メラノサイトをコントロールする
5. 性ホルモンの分泌
・ホルモンの分泌を促進するには
①分泌器官が正常であること
身体機能は鍛えれば、より活性化するが、使わなければ退化する。
3か月使わないと退化が特に進行する。また、脳と男性の精巣以外の内分泌器官は温めると機能が高まる。女性でかかとが冷えている場合は、骨盤内の臓器が冷えていることの指標となる。かかとを温めるには、動脈が体表の表面を走っている足首を温めることが有効。
②ホルモンをつくる材料が身体にあること
食事の重要性(46種類の栄養素摂取、1日30品目)
たんぱく質:ペプチド
脂質:コレステロールはステロイドホルモンの材料
ミネラル:代謝時に必要、ブレインコードの伝達に関与
*ブレインコード:脳内言語のことで、ホルモンの前駆体などの刺激は、右脳の前頭葉で起こる感情によってブレインコードが作られ、生成がコントロールされる。
大脳新皮質でブレインコードが作られ、その刺激が旧皮質に伝達されることで、そこからホルモンを含むケミカルコードが全身に作用する。
糖質:脳のエネルギー源はブドウ糖のみ、脳で消費しないと脂肪として体内に貯蔵
水:ホルモンの代謝(形成、分解)に必須
1.加水分解
2.ペプチド結合
③体温環境と体循環の活性
ホルモンは血液によって運搬される。
④湧き上がる情熱とイメージ力
イメージは脳内では予定となり、身体反応が起こることで自律神経、ホルモンに影響を与える。
⑤ ストレスフリー
ストレス(ディストレス)は、視床下部に伝達されホルモンのアンバランスを引き起こす。
ストレスによって血管が収縮することで、ホルモンの運搬が隅々までスムーズにいかなくなる。
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