2012.7.22 免疫講座 in 玉川温泉
佐藤義之ドクターによる「免疫講座」
2012.7.22.(日) 16:00~17:30
テーマ「動脈硬化と免疫」
@玉川温泉 湯治館 そよ風
■健康寿命
一生のうち介護を必要とする時間と日常生活に支障が出るほどの時間を除いた年月のことで、男性70.42歳 女性73.62歳と言われており、平均寿命が男性79歳、86歳であることを考えると、多くの人が必ずしも健康で過ごせていないということが分かる。
最も介護が必要な病気は血流に関する病気であり、免疫の観点から言うとガンも血流の病気に含まれ、カナダの有名な医師は、人間は血管と共に老いると述べている。
私たちは寒いところに行くと、表皮の血管は収縮し、熱を逃がさないようにして温かいところに来れば拡張するが、動脈硬化はこの収縮、弛緩が正常に行われなくなる。
■動脈硬化の原因
1.老化
誰にでも起こる変化。
2. 血糖
血管の内壁が砂糖漬けになり古びた輪ゴムのように朽ちる。
3.高血圧
血管内の圧に耐えるために血管壁が肥厚し、柔軟性が減少する。
4. 高コレステロール
悪玉コレステロールが血管壁に付着し、血管を傷ませる。
5.タバコ
タバコの成分の強力な血管収縮によって、あらゆる部分の血流が悪くなり、子宮の動脈さえも収縮させてしまい、胎児にも影響を与える。
6. カルシウム
カルシウムの沈着により血管内が石灰化し柔軟性が失われる
■カルシウムと動脈硬化の関係
過剰摂取が原因なのではなく、糖尿病や疲労などで体が酸性に傾くことによって、それを補正し弱アルカリに戻すために骨からカルシウムが融解し、血中濃度が高まる。
正常では、再び骨に吸収されるが、持続的に酸性化するような状態が続いていると再吸収される時間が無くなり、血管壁に沈着すると石灰化によって硬い血管になる。
この現象は本来定着すべきではない部分にカルシウムが存在していることから異所性の石灰化と呼ばれる。
乳ガン検診で行われるマンモグラフィーでは、最も有用な所見は乳房に溜まったカルシウムの石灰化であり、脳で石灰化が認められれば認知症、膵臓では糖尿病と診断される。
また私たちの体は、急激な変化を好まないため体内を一定に保とうとする恒常性維持機構(ホメオスタシス)を持ち、血中にカルシウムが大量にある場合はそれを排出しようと腎臓に送る。しかし、一方ではカルシウムを排出したことによって再び体が酸性に傾くことから骨からカルシウムの融解が起こり、骨量が低下する。
20代の女性の骨量は、約3分の1が平均以下しか無く、その原因は甘い物の食べすぎによる体の酸化であり、昔から甘いものを食べると骨が溶けると言われていたが、これは真理であったと言える。
そして4大酪農国が最も大腿骨の頚部骨折、骨頭骨折が多いというデータも出ていることから、カルシウム摂取のために牛乳を飲むことが重要なのかという疑問もある。
■マグネシウム
長期にカルシウムが血中に存在する原因として食生活や体内の酸性化が挙げられるが、もうひとつ重要なファクターとしてマグネシウムの不足がある。
血中のカルシウムの量をコントロールする役割があり、過剰にある場合に骨に戻し、骨が形成されるための材料となる。
マグネシウム不足の原因として
① 欧米化した食事
② 農薬による土壌菌の減少
③ カフェイン
④ 白砂糖、白米など精製による減少
⑤ 高脂肪食
⑥ 薬
⑦ 清涼飲料水、加工食品による吸収阻害
従って、良いものだからと言ってとにかく摂取すれば良いという食を成分だけで捉えることは、体の機構を無視したものとなり、逆効果になってしまうこともある。
市販の牛乳のカルシウムとマグネシウムの比率は10:1であり、1:1であれば正常にカルシウムが骨に運ばれるもののマグネシウムの量が足りないために骨量が増えにくい。
身近な例としてはマグネシウムの減少によって筋収縮に必要なカルシウムが常に筋細胞内に留まることによってこむら返りが起こる。
■動脈硬化と免疫の関係
動脈硬化があると当然、流れる血液の量が減り60兆すべてに酸素などの栄養が行き渡らないと共に、組織へ向かうリンパ球も減ることによって生じた異型細胞をうまく除去できなくなり、発ガン体質になる。
また、温熱を加えて血管を拡張しようとしても動脈硬化の環境下ではその硬さからうまく血管が拡張できていないという論文も多く発表されている。
正常な血管は内膜、中膜、外膜の3層からなるが、動脈硬化の原因である悪玉コレステロールは1層目と2層目の間に入り込み、量が増えると膨らむことで血流によどみが生じ、血栓をつくりやすくする。
■心の免疫
昔から良い人になるために、良いものを見なさい、良いものを聞きなさいという言葉がよく聞かれたが、実はこの言葉には非常に意味があり、それは私たちの心の中には無尽蔵という蔵があり、見た物、聞いたものあらゆる経験したもの全てが入っているためである。
それぞれの場面で私たちは、その無尽蔵に入ったものの中から常識をつくり、判断を下して行動を起こしており、ひいては性格にまで影響を与えているのである。
従って経験したことによって同じ場面に遭遇しても捉え方は人それぞれで、それに対する対応や考え方も変わってくることから普段から良いものを無尽蔵に溜めていく努力をしていくことが重要であり、これを心の免疫と先生は呼んでいる。
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