久保明先生 美容のカギは糖化にあり
2011.11.21.(月) 13:00~17:30
@ホテル ニューオータニ 紀尾井フォーラム
主催:アカデミック エコール・ド・HIRO
久保明先生
「美容のカギは糖化にあり」
・女性が長生きの理由
女性は平均寿命が80代を超えているが、男性はまだ70代である。女性長寿の要因としては、女性ホルモンのことだけが言われるが、多くが50歳前後で途切れることを考えると他の原因も考えられる。善玉たんぱくであるアディポネクチンはどの年齢層でも女性の方が多く、寿命が長い一つの要因になっている。
寿命と健康寿命の差が現在7年あるものをゼロにしていくことが本当のアンチエイジングであり、もうひとつの条件として輝いている必要があり、本当に自分で納得して生きているかを知る必要がある。
食事、運動、メンタルも大切だが、四つ目のアプローチとして美しさ、輝きなど客観的に数値化できないものが人生にはあり、エステティックはその部分で役に立つことができる。
・ロンディビティプロジェクト
アメリカで8~10歳の男女1500人を80年間に渡って観察し、どのようなタイプの人が長く生きるかが明らかになってきた。その中で幼少期にプラス思考だった人が必ずしも長生きではないといったデータや男女共に既婚者が最も長生きで男性は生涯独身者が2番目に長生きなのに対し、女性は離婚者が2番目に長生きであったというデータが明らかになっている。
・活性酸素
久保先生は、自分が診ていた生活習慣病の患者さんの寿命が短かったことから、寿命に対して真剣に考えるようになり、アンチエイジングという言葉がまだ無かった2001年に日本で初めて老化のドックを立ち上げ、2006年に大学として初めて抗加齢ドックを始めた。
先生は喘息持ちだったことから、自ら自分の呼気を調べ、活性酸素の量を測ると、高い値が示された。このことから活性酸素の量を測ることで、様々な病気が自覚症状として現れる前の状態を知ることができると共に、老化において重要な役割をしていることが分かった。
HDLコレステロールは必ずしも善玉ではなく、一部は善玉として働かないものがある
・遺伝子
現在では、自分自身の遺伝子の状態を見ることができ、脳梗塞、心筋梗塞、認知症になりやすいかどうかや複数の長寿の遺伝子も見つかっている。
現在、認知症患者は250万人~300万人で10年後には2倍近くになると言われている。アルツハイマーは女性に多く、前もって分かることアポイーという遺伝子3,4というタイプがあり、4を持っている人は約10%アルツハイマー発症率が高くなることから、前もってサプリメント等を摂っておくとよい。
9月に出た論文では、修正可能な因子が7つあり、脳の糖化、運動などを挙げており、WHOは運動の4因子として有酸素運動、筋肉運動、ストレッチ、バランスを挙げている。
・糖化を防ぐには
20年間食所を6~7割に減らしたサルと好き放題食べさせたサルでは、好き放題食べたサルの方が、明らかに寿命が短くなった。
ヒトの実験では、6カ月の実験で同等の実験が行われ、食事を減らした群は遺伝子の損傷が少なかった。
血糖値は食後1時間後に最も高くなり、中性脂肪は3時間後にピークを迎え、その時に身体の中では、活性酸素が増え、血管の柔軟性が低下し、すなわち老化が進む。
また、糖化と活性酸素は関連し合っていて、細胞の機能を低下させている。
今までは食事の量を注意していたが、糖化を考える場合には食べる順序が重要で野菜から食べることで血糖の上がり方を穏やかになり、同じ量のものを食べても血糖の上がり方が変わる。2009年のデータでは、逆に糖が不足していても動脈硬化が進むため、ある程度の糖は動脈硬化の修復役のEPC(血管内皮細胞の前駆細胞)を働かせるために必要である。
血糖の上昇を防ぐものとしては、ビタミンB群が糖を積極的に使い、発芽玄米も上昇を穏やかにする。
・糖化について
糖化には2段階あり、2段階目では不可逆的になり、身体をたんぱく質に糖が結びつき、本来の機能が失われる また糖の最終産物であるAGが筋力を低下させる。
皮下のコラーゲン(たんぱく)は糖化のターゲットになりやすく、糖と結合することで変性し、弾性が低下する。研究によってエラスチン、コラーゲンなどのたんぱく質にも影響を与えるため肌もダメージを受ける。
・ロコモティブシンドローム
筋肉、骨、関節に関する疾患の総称で筋肉、骨が弱くなる、関節が変形するといった病態があり、健康寿命を高めるにはロコモティブシンドロームへの対策が重要。