太陽と免疫
2011.10.15.(土) 13:30~15:00
第5回 『免疫講座』
テーマ 「太陽と免疫」
講師:日本橋清州クリニック 院長 佐藤義之先生
「エジソンの呪い」から今日の講義は始まりました
文明の中で一番人の健康を蝕んだもの・・・
それは、人工照明です
えっ?
それがエジソンの呪いというわけです
二番目は、エアコンだそう
もちろん全否定はできません
薬と同じです
ありがたいものですが副作用が・・・
どちらも人の恒常性維持機能を大きく狂わせる元凶です
結論から
「健康でいるためには、朝になったらしっかり朝日を浴び、日が暮れたらできるだけ早く寝ること」
誰でも知ってる「早寝、早起き」
やはり病気にならないためにはとても重要です
その理由を体内時計の調節を行っているメラトニンのホルモン分泌に焦点をあててお話しくださいました
●まずメラトニンの働きについて・・・
◎朝、太陽光線が目に入ると、その刺激が脳の視床下部、視交叉上核を経て、松果体という部分に伝わり、メラトニンの分泌が抑制される。
これによって体内の覚醒スイッチがONになり、血圧、心拍、尿など、自律神経や精神状態の生命現象のリズムが昼間の活動に適したものになる。
日が暮れて暗くなると、メラトニンの分泌が増え、生体リズムは睡眠や休息に適したものになる。
(副交感神経優位)
この生体リズムの仕組みは全盲の方にも存在する。
皮膚に太陽光線を感知するサンサーがあることも確認されている。
そしてその働きは・・・
1)眠りを促す
・時差ボケの解消薬としても使われる
「寝る子は育つ」の言葉どおり、幼児期のメラトニンの分泌量は、大人よりも多く、10才でピークを迎え、その後加齢とともに下がる。高齢者は、微量しか生成しないのでなかなか寝れなくなる。
2)サーカディアンリズムの調整
・人間の体内時計は、元々約25時間周期を示すことが知られている。それを地球の自転による24時間周期に同調させるのはメラトニンによってコントロールされている。
3)免疫賦活作用
・メラトニンの分泌量が一日の中でピークを迎えるのが、午前2~3時である。
これは丁度、時を同じくして、血中の免疫細胞の数もピークを迎える。
(これは副交感神経の働きによるものである)
・免疫系細胞のTリンパ球には、メラトニンのレセプターが存在する。
メラトニンは、Tリンパ球が分泌するインターロイキンを増加させる。
4)抗酸化作用
・活性酸素の除去
体内でつくられる抗酸化物質の中で最大の能力を有する
※ビタミンEの2倍、グルタチオンの5倍
5)感情・情動の調整(ストレスの緩和)
・神経伝達物質セロトニンのシナップスにおける濃度を高める
※抗うつ剤ルボックス(フルボクサミン)はメラトニンの生成を促す薬
・精神障害患者は、松果体に異常が多い
・松果体の抽出物を分裂患者に注射をすると症状の改善がみられる
・抑うつ状態の患者は、メラトニンが低値である
《警鐘》
エジソンの呪いと言われるように、太陽が沈んでも光々と明るい照明下にいると、それが習慣となり、体内時計がONにならない。
夜になってもメラトニンが出ない、眠くならない夜型人間の誕生である。
メラトニンの分泌が下がれば、上記の5つの項目すべてに影響する。
眠れなくて睡眠薬を処方してもらうより、日光浴が大切。
日々太陽に当たり、体内時計にメリハリをつけると、少なくなったメラトニンも再度増えてくる。
《番外編》
佐藤先生から突然最後に質問が!?
皆さん、あのユニクロさんの社訓をご存知ですか?
「徹底的に徹底する。」
ただこれだけです!と先生・・・
せっかくいろいろ教えてくださっても
それを実行しない我々に対する苛立ちがおありのでしょう・・・
体を冷やすなと言っても、服装一つ変えられない私たち
佐藤先生の生き方は予防医療のユニクロです
●第1回 『ガンにならない生き方』
●第2回 『ガンにならない生き方』
●佐藤先生を囲んでの座談会