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ガンは日本において死亡原因のトップであり、現在3人に1人がガンで亡くなっていて、今後2人に1人が発ガンする時代と言われています。
これだけ医学が進歩しているにもかかわらず、一向にガンが減りません。
どんなに健康な人でも体内では毎日3,000~7,000個のガン細胞ができていると言われています。
それが実際にガン化しないのは免疫細胞の働きによるものです。この免疫細胞の働きは、ストレスや生活環境など様々な要因によって大きく影響を受けます。
今回は、開業医であります佐藤ドクターにガンはどのようなプロセスでつくられるのか、またどのように予防したらよいのかという具体的な方法をアドバイスいただきます。
- ■テーマ
- ガンにならない生き方
- ■講師
- 日本橋清洲クリニック院長 佐藤仁是先生
- ■開催日
- 2009年1月12日(月)13:00~14:30
- ■会場
- クロス・ウェーブ東中野
- ■主催
- エルクレストアカデミー
エルクレストチーフ会
(株)エルクレスト - ■参加人数
- 96名
● 講師プロフィール
佐藤仁是 Sato Yoshiyuki
日本橋清洲クリニック院長
1953年 | 広島市生まれ |
---|---|
1977年 | 慶応義塾大学医学部卒業 |
1978年 | 済生会神奈川県病院勤務 |
1982年 | 聖母病院産婦人科医長 |
1992年 | 新横浜母と子の病院診療部長 |
2001年8月 | 日本橋清洲クリニック開業 |
→セミナー配布資料より『「生きのびるリスク」について』
→参考資料「がん予防12か条」(国立がんセンター制定)
1.各臓器の寿命
命の寿命は、一つですが人の身体の各臓器にはそれぞれ寿命があり、例えば免疫にかかわる胸腺の寿命は約20年、卵巣で約50年、目の水晶体で70~75年、体内に侵入してきた細菌やウイルス、ガン化する異型細胞を攻撃するリンパ球は60~65年と言われています。
現在、日本人の平均寿命は80歳を越えています。この50年で30年近く延びたわけですが、残念なことに各臓器の寿命はほぼ一定しています。
2.死亡原因、第1位のガンとその理由
「ガン大国」と言われる日本、なぜガンが増えたのか?
その答えは、簡単です。日本人の平均寿命がこの50年で飛躍的に延びたからです。
ガンなどの異型細胞を除去するリンパ球の寿命が50才あたりから低下し始め、60~65才でほぼ寿命を迎えますので、平均寿命が60才の時代はガンになられる方が少なく、寿命が80才まで伸びるとともに発ガンの頻度が高くなっています。
3.「死ぬリスク」から「生きのびるリスク」の時代
平均寿命が短い時代は、誰しも長生きしたいと思いました、ところが日本が豊かになり医療も進歩したことでその夢は実現しましたが、問題はその長生きの質です。
大病を患ったままや寝たきりでは、どんなに長生きしても幸せとは言えないでしょう。
同じ長生きをするのであれば、元気で長生きしなければ逆に不幸かもしれません。
それが「生きのびるリスク 」です。
この「生きのびるリスク」を考える時、病気を早期発見、早期治療するための健康診断だけでは、十分ではないことをお伝えしたいと思います。
なぜなら健診で病気を早期に発見しようとすることと、病気にならないようにすることとは、全く次元の違う話しだからです。
4.生活習慣病と言われる糖尿病、高血圧、心臓病とガンとの違い
糖尿病や高血圧、心臓病は、たとえ発症したとしても規則正しく薬を服用し、生活習慣を改めれば平均寿命を超えられる方もたくさんいらっしゃいます。
しかしガンという病気は、生活習慣病とはその発生メカニズムが全く違います。
ガンはあくまでも自己細胞の変化です。自らの正常細胞が徐々にその形を変えて異型となり、最後にはその異型、ガン細胞が異常増殖して生命をおびやかす病気です。
5.ガン細胞ができるまでのシナリオ
人間の体は60兆個の細胞からできています。その細胞は、毎日毎日新しく生まれ変わっていますが細胞内のDNAにキズがついたり、構造が変化したりすると元の同じ細胞がつくられず異型細胞ができてしまいます。これがガン細胞の始まりです。
この遺伝子DNAをキズつける要因としてウイルスやタバコ、ストレス、化学物質等が挙げられます。
実は私たちの体内には、このコピーミスによる異型細胞が誰でも毎日3000~7000個できています。
この細胞を抜き取る作業をしてくれているのがリンパ球(NK細胞等)なのです。その作業のことを私たちは、免疫力と言っています。
この免疫力を下げないようにすることがいつまでも健康であり続けるための最大のポイントです。
6.免疫力を低下させる4つの原因
【ガンを予防するために免疫力を維持する4つのポイント】
- (1)低体温 ⇒ 体を冷やさない
- (2)低タンパク ⇒ 良質なタンパク質の摂取を心がける。アルコールを控える。
- (3)ストレス ⇒ ストレスを溜めない
- (4)体の酸性化 ⇒ 脂質や糖質の摂取を控える。十分な睡眠をとる。
(1)低体温
- その1.
-
免疫力は、体温が1℃下がると約40パーセント低下し、逆に1℃上がると5~6倍上昇するとされています。
それは、免疫力の主役を演じている白血球が体温が下がると動きが悪くなり、バイ菌やガン細胞などの有害物を貪食・殺菌する力が弱まるからです。
逆に積極的に体を温めてあげると細胞内にHSP(Heat Shock Protein)が産生され、免疫力が増すことがわかってきています。 - その2.
-
ガン細胞は低温を好み、高温を嫌う。
子宮ガン細胞を39.6℃以上にした場合、ガン細胞は10日くらいで全滅しましたが、正常細胞は痛手を受けなかった。また、ガン細胞は35.0℃で一番繁殖するとも言われています。
体重の1/200しかないが、体温の1/9を産生する心臓や、赤血球が集まり赤くて体温の高い脾臓でのガン発生は皆無に近く、逆に体温の低い肺、食道、胃、大腸、子宮…などの管腔臓器や体から突出しているゆえに体温の低い乳房にガンができやすいことも「ガンは熱に弱く、低体温で増殖する」と言われる由縁です。●佐藤流冷え予防法●
- 1.防暑&防寒対策
体温と水は、高いところから低い方に流れる。
真夏、外が33℃で暑くても体温は36℃であれば体温は奪われている。
- 去年の夏は、真夏でもエアコンを使わなかった。(扇風機は使用)
- 昼間、家で暑い時は、水シャワーをさっと浴びる。
- 寝苦しい夜は、首にアイスノンを当てて寝る。
(首の太い頚動脈を冷やしてあげることで脳を涼しいと錯覚させる。) - 冬は、逆に首にマフラーを巻いて寝る。
(心臓から近い胸元と首が一番冷えやすい。首を冷やしたり、温めたりすることで暑さ寒さを簡単にコントロールすることができる。) - 10月から6月までは、ももひきと長袖の下着で体温の放散を防ぐ。
(夏でも薄着をしないで顔と手以外からの体熱の放散を防ぐ)
- 2.毎日入浴後、しょうが紅茶を飲む。
昨日は、たまたま入浴前に飲んだら大汗をかいて驚いた。
しょうが10gがとても体を温めるのでお勧めです。 - 3.シャワーでの入浴を止め、しっかり湯船につかり体を温める。
- 1.防暑&防寒対策
体温と水は、高いところから低い方に流れる。
真夏、外が33℃で暑くても体温は36℃であれば体温は奪われている。
(2)低タンパク
良質のタンパク質をしっかり摂ることが免疫力アップにつながります。
アルコールを毎日摂るような方は、しっかり食事をされていても、血液検査をすると意外と低タンパクな方が多いのです。
下痢や軟便の方が多く腸からの栄養の吸収が悪くなることが原因として考えられます。
(3)ストレス
また長期間のストレスは、自律神経の交感神経を緊張させ、末梢血管を収縮させ血流が悪くなりますので体を冷やします。
(4)体の酸性化
ガン組織およびその周辺は酸性になっています。ガン細胞は異常なスピードで分裂・増殖をくり返しますので血糖の消費が多く、その分、乳酸が蓄積され酸性体質になります。
実は組織が酸性体質になりますとリンパ球(NK細胞やT細胞)の活性が低下し、ガン細胞を死滅させることができなくなります。
ガン細胞自身は、自らが分裂・増殖をくり返す一方で、リンパ球の機能を低下させるという防衛手段も講じながら進んでいくのです。
糖尿病がうまくコントロールできていない方の血液を調べますと、そのほとんどが酸性に傾いています。よく、糖尿病の人はケガをすると治りにくいとか、化膿しやすいと言います。 その原因の1つは、血液や組織が酸性に傾くために生じる白血球やリンパ球の活性の低下にあります。ですから糖尿病の方は免疫力が低下していると言えます。
体が酸性に傾く大きな要因は食事にあります。
血液検査をして中性脂肪値やコレステロール値が高い方は、酸性体質と言えますから脂質や糖質を控えめにする必要があります。
以上 第1回『ガンにならない生き方』講演内容から
■ がん予防12か条(国立がんセンター制定)
がんの予防対策には、がんの発生を防ぐ「第一次予防」と早期発見・早期治療の「第二次予防」があります。第一次予防は、日ごろの生活習慣から、がんの原因となるものを遠ざけるようにすることです。国立がんセンタ-から、「がん予防12か条」が提唱されており、がん予防のための指針となっています。
このような生活習慣の注意で、がんの発生はかなり防げると専門家は考えています。
■ 「生きのびるリスク」について(佐藤仁是先生セミナー配布資料より)
冒頭から耳障りな言い方で申し訳ありませんが、今までは「死ぬリスク」について誰もが考えてきました。
医療の世界だけでなく生命保険業界においても生命保険そのものが「死ぬリスク」に対する商品でした。ある意味では「年金」は「生きのびるリスク」に対する策と言えるかもしれません。
話しを医療の世界に戻しましょう。
検査に関する技術革新も進みCT、MRI、さらにPETも癌の早期発見に役立つとのことで、一時期PET神話というかPETブームとなりました。
血液検査においてもその測定項目数は2500を超え数々の癌マーカーも開発され、その早期発見に役立っているのも事実であります。
私共のクリニックには、健診として血液検査を希望される方が多数ご来院されます。
私自身も毎月血液検査を行いますし、健診そのものはたいへん有意義なことと思います。
しかし「生きのびるリスク」からすれば決して健診だけでは十分でないことをお話し申し上げておこうと思います。
その理由は明白です。
健診で病気を早期に発見しようとすることと、病気にならないようにすることとは、全く次元の違う話しです。
前者については皆さん人間ドックをはじめいろいろと努力されているようですが、後者については本当に努力されているのでしょうか?
今回はその病気を特に「癌」に的を絞ってお話したいと思います。乱暴な言い方ですが、糖尿病や高血圧、心臓病、最近流行のメタボリックシンドロームなどは、たとえ発症したとしても規則正しく薬を服用すれば死に至ることはありません。
薬を規則正しく服用しなかったり、薬の効果を超えて過食に走ればそれは問題です。
しかし規則正しく薬を服用し、そこそこご自身の生活習慣を律すれば、正常の上限近い値で生き延びることはそう難しいことではありません。
誰も死にたくありませんから、ほとんどの人は規則正しく薬は飲むようです。そうです。薬を飲んでいれば生き延びてしまうのです。ですから平均寿命もこれだけ延び、また平均寿命を超えて高血圧、糖尿病の人もたくさんいらっしゃいます。
しかし「癌」という病気は他の生活習慣病とはその発生メカニズムが全く違います。
「癌」はあくまでも自己細胞の変化です。自らの正常細胞が徐々にその形を変えて異型となり、最後にはその異型、癌細胞が異常増殖して生命をおびやかす病気です。
メタボリックシンドロームに代表される生活習慣病は、自らが気をつければそこそこ予防できる病気ですが「癌」はそういう訳にはいきません。
確かにストレスを溜めないようにするとか、遺伝子を傷つけるような物質を避けるなど、予防法がない訳ではありませんが、なかなか実態論としてその予防策を実行することは難しいようです。
その代わりという訳ではありませんが、我々の体の中には「免疫」というすばらしい予防のメカニズムが存在しているのです。
毎日つくられている3000~7000個の癌の前身細胞はリンパ球によって知らないうちに除去されているのを皆さんはご存知ですか。
このメカニズムは年齢的には50才から急速に低下してまいります。
昔は「癌」が少なかったのではありません。「癌」が発生する前に寿命が尽きていた訳です。
しかし栄養状態の改善、医学の進歩で病気であってもその寿命が延び「生きのびた」分、癌が増えてきた訳です。
ですから当然「生きのびる分」、その免疫力が80才まで続く策を実行しなくてはならないのです。
家族暦(ご家系の病歴)は先祖が教えてくれるリスクファクターと申します。
実は私自身も癌家系です。私は仕事上、免疫を勉強してきましたので、40才から自らの免疫力の保持・持続を目的にその策を実行しております。
しかし私自身も仙人や修行僧のような生活習慣を送っている訳ではありませんので、現在実行している策で癌にならないという保障はありません。
人間は後悔する動物です。その時点で十分と考えられる策を実行していて癌になったのならあきらめもつきます。
しかし予防策を実行せずして癌になったのであれば悔やまれます。
私は、健診で癌を早期発見したいという前に、癌を発症させたくありません。私はそのように考えております。健診は健診として、同時に免疫力の保持・持続に対する策も実行されますようお勧め申し上げる次第です。
癌以外の病気は「死ぬリスク」に対してその策が実践されるものであり、一方で癌は「生きのびてしまうリスク」からその予防策を考えていかなければならない病気であるということなのです。
そして健診と予防とは、全く次元が違うことであるとご認識いただければと思います。
ご質問、又その対策に取り組みたい方はクリニックまでお問い合わせください。
平成21年1月12日
日本橋清洲クリニック
院長 佐藤 仁是
〒103-0007
東京都中央区日本橋浜町2-54-1
ブリリアンス日本橋浜町四番館102
TEL・FAX 03(3808)2288